地震・津波対応検証プロジェクトチームにおける検証結果について、ご説明いたします。
本件は、プロジェクトチームでの検証結果及び改善策の提案内容について、報告があったものであり、お手元の資料に基づき、その内容をお知らせいたします。
まず、プロジェクトチームの概要でありますが、プロジェクトチームの目的といたしましては、昨年12月及び4月の地震・津波避難に関する市の対応について検証を行い、次の災害時に市民の命を守る体制を構築することを目的とするもので、検証は、災害対応における課題の指摘だけではなく、次の災害時に現状よりも実効性の高い体制を構築するため、事実を正確に把握し、その要因を分析し、次の施策の立案につなげるものとしております。
このプロジェクトチームを設置するに至った経緯といたしましては、昨年12月の青森県東方沖の地震に係る市の対応を振り返り、顕在化した課題を整理し、災害対策本部設置中ではありましたが、災害対応業務と並行しながら、できる対応については取り掛かっていたところであります。
そして、災害対策本部を廃止した3月23日以降、本格的に取組を進めることとしておりましたが、4月に三陸沖の地震が発生し、改めてこれらの課題が明らかになり、今後起こりうる大規模地震・津波災害に備えるためにも、早急な検証が必要と判断し、4月30日の「地震・津波避難対応検証プロジェクトチーム」の発足に至っております。
実施体制につきましては、プロジェクトチーム内に、課題ごとに、ご覧の5つのワーキングループを設置いたしました。
プロジェクトチームの検討状況につきましては、発足の翌日にキックオフ会議を開催し、チームの目的や取り組む内容の情報共有及び、意識統一を図っており、これを皮切りに、週次会議では各ワーキングでの進捗や取組の方向性の確認、各ワーキング会議で各課題の検証、検討を重ねながら進めてきており、先月6月には市民アンケートの速報値を公表し、そして、本日の検証結果の公表に至っております。
アンケート調査につきましては、市民や市職員、市職員の中でも、避難所で従事した職員、そして自主防災会を対象に実施しており、ご覧のとおりの回答をいただきました。
市民の皆様におかれましては、アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。
また、報道機関の皆様には、市民アンケートの周知に積極的にご協力いただき、この場をお借りして感謝申し上げます。
各ワーキンググループでの検証結果を踏まえ、合計22の取組の提案がありました。 このあと、順にご説明いたします。
まず、避難行動周知・広報強化ワーキンググループでありますが、このグループの目的といたしましては、津波からの避難により渋滞が発生したこと、避難の際の開設避難所などの情報の周知不足などの課題に対し、市民の適切な避難行動につながる効果的な周知・広報のあり方を検討するものであります。
課題といたしましては、避難所に設置している標識の表示内容がわかりづらいのではないかということ、津波避難に関するルールなどの平時からの情報不足、発災時においても情報提供不足、といったことが挙げられております。
課題に対する現状といたしましては、主に、令和4年の津波ハザードマップや津波避難計画の改定に伴い、変更したL2想定の周知を重点的に実施してきたことや、資料やパンフレットが散在していること、情報発信ツールによっては、文字数制限の存在や、平時及び災害時の情報発信不足が指摘されております。
これらの課題や現状を踏まえ、6つの提案を受けております。
なお、各提案に掲げる項目の実施時期の目安につきましては、すでに実施した【実施済】、年度内に対応が可能と思われるとした【短期】、予算を伴うものなど3年以内とした【中期】、4年以上必要と思われるものにつきましては、【長期】としております。
1つ目の提案といたしましては、「徒歩避難への行動変容の促進」であります。
徒歩でも間に合うことの見える化や、渋滞リスクの可視化といった、徒歩避難の優位性の周知が必要である、とのことであります。
2点目は、「徒歩避難に対する不安要因の解消」であります。
「徒歩避難」を意識した非常持出品や、冬季の避難を想定した非常持出品の確認が必要、との提案であります。
3点目の提案は、「分かりやすい情報提供」であります。
防災に関する資料やパンフレットが散在している状況を踏まえ、関連する情報を集めた内容を一本化した啓発資料の作成や、津波警報と大津波警報の避難対象地域を重ねるなどしたマップの作製、地区別の避難先・ルート・所要時間の明示の提案となっております。
4つめの提案は、「継続的な教育・訓練」であります。
学校、事業者、町内会単位での繰り返しの訓練や、実際に歩いてみる体験型の訓練の導入についての提案となっております。
5つめの提案は、「効果的な周知手法の提案」であります。
例えば、自動車避難をした際に起こりうることを、ストーリー仕立てで啓発することにより、より実感を持っていただくことや、動画コンテンツの制作と活用も提案されております。
このワーキンググループの最後の提案は、「媒体特性を活かした情報設計」であります。
作成した動画やデジタル化した資料のアドレスなどをQRコードに埋め込み、チラシなどに記載することや、紙とデジタルの特性を踏まえた周知が必要との提案であります。
次に、避難時交通実態分析ワーキンググループですが、このグループの目的といたしましては、12月と4月の発災時の市内の交通状況を分析し、「津波避難施設の整備等に関する基本方針」との整合状況を確認するとともに、自動車避難の在り方や抑制等の方策を検討するものであります。
次にお示しの図面は、交通分析の結果でありますが、次のページに拡大したものを掲載しております。
赤い線は、青森県警から提供していただいた情報を分析した結果、渋滞していた場所を図示化したもので、青い線は市営バスのバスロケーションシステムのデータを基に、渋滞していた場所を図示化したものであり、番号は只今のご説明では割愛させていただきますが、別添資料に掲載の番号とリンクしておりますので、後ほどご確認をお願いいたします。
また、広範囲にわたって塗りつぶされているピンク色の範囲が、大津波警報時の津波浸水想定区域で、沿岸部に着色しております紫色が、津波警報時の津波浸水想定区域であります。
これらを重ね合わせてみた結果、12月と4月のいずれも、津波警報が発表されましたが、その避難対象地域の中では、渋滞は発生しておりませんでした。
この結果を踏まえた課題になりますが、主要幹線道路や高台へ向かう道路に自動車が集中するほか、自動車が右折や左折レーンに収まりきらず、直進レーンを塞ぐなどによる渋滞の発生や、多くの市民がL2津波を想定し、自動車で避難したこと、もし、これが大津波警報だった場合は、大変問題で、渋滞に巻き込まれた方は津波の被害にあわれていた可能性があることや、自動車避難の危険性、避難路が限られるエリアでは渋滞が発生しやすいことが指摘されております。
これらの課題に対する現状といたしましては、津波警報の浸水想定区域内では、渋滞はなかったことや、道路交通量には限界があること、自動車での指定避難所への避難、警報毎の避難対象地域、自動車避難ルールの周知不足、地域との協議や訓練の不足、児童生徒を自動車により迎えにきたこと、職員参集時の自動車使用、といったことが挙げられました。
これらの課題や現状を踏まえ、3つの提案を受けており、1つ目は、「自動車交通量の抑制」であります。
津波警報時の避難対象地域の明確化・周知や、自動車利用を控えること、さらには児童・生徒の引き渡しルールの見直しなどが提案されております。
2つ目の提案は、「自動車避難ルールの明確化・周知」であります。
自動車避難ルールの明確化・周知や、津波避難に係る地域との協議による、地域の実情に応じた避難方法、いわゆるローカルルールの確認・検討、自動車避難訓練の強化・拡充、津波避難アプリの研究・開発などの提案となっております。
3点目の提案は、「自動車避難時の混雑・渋滞の緩和」となっております。
自動車避難者を抑制したうえで、真に自動車での避難が必要な方が、円滑かつ確実に避難するための迂回路の設定や、一時的駐車場の確保、自動車避難者の誘導や高台地域の受入れ体制の整備の提案、さらには、「津波避難施設の整備等に関する基本方針」で取りまとめた避難路や津波避難施設の整備の推進が必要との提案となっております。
続きまして、物資供給・配送体制強化ワーキンググループでありますが、このグループの目的といたしましては、物資供給の実態を検証し、初動から安定供給に至るまでの体制及び民間連携のあり方を整理し、実効性のある供給体制の構築や、現場での物資配布ルールのマニュアル化も図ることとしております。
課題といたしましては、食料の配送方法や、避難所への食料提供体制のあり方、備蓄物資等について、保管スペースの不足、避難所ごとの資機材のパッケージ化や配置状況の見える化、毛布等の積雪寒冷地であることを踏まえた備蓄の不足が挙げられております。
これらの課題に対する現状といたしましては、避難者から食料の提供を求められたことから、配送に一部遅れが生じたのではないか、との指摘があったこと、避難所の状況により、物資の保管スペースがないこと、避難所の規模に応じて備蓄物資をそろえる必要があること、避難所ごとに配備されている品目や数量がわからないこと、冬季用の備蓄物資が不足していること、などの現状が確認されました。
課題解決の方向性といたしましては、ご覧の6つの提案となっており、提案の一つ目は、「自助の呼びかけ」とし、普段から食料や水等を備えておき、避難の際は持参するよう、自助の重要性を呼びかける必要があるとしております。
次の提案は、「現場と本部の情報伝達手段の強化」であり、デジタルツール等を活用し、情報共有や配送指示が必要とのことであります
3つ目の提案は「計画的な事前備蓄」であります。
すでに実施済みでありますが、備蓄品の配備状況を市ホームページに掲載しております。 そのほか、各避難所の属性や想定収容人数などを踏まえた備蓄品の配備や、初動をより迅速に行うため、本庁にも配送用の備蓄品を配備すること、を掲げております。
4つ目の提案は、「物資供給や運用体制の見える化」であります。
物資を配送する職員の体制につきまして、初動開設避難所の見直しに合わせた設定や、避難所での物資配布に関する運用ルールを定めることの提案となっております。
提案の5つ目は、「新たな備蓄場所の確保」であります。
避難所によっては、備蓄品の保管スペースの確保が難しい状況もあることから、避難所の近くへの備蓄場所の確保や、各施設の備蓄スペースの拡大、新たな備蓄倉庫の整備や民間との連携による備蓄場所の確保といった内容を掲げております。
このワーキンググループの最後の提案は、「システムの導入」であります。
平時からの備蓄品の管理や、災害時には各避難所の避難者の人数・属性をリアルタイムで把握し、避難人数等から必要な物資・数量を自動で判断したうえで、効率的な配送システムにより物資を配送する、といったことを掲げております。
次に、自主避難対応体制整備ワーキンググループであります。
このグループの目的といたしましては、自主避難者の取扱いに関するルールがない中、自主避難者が発生した場合における実態の把握方法を整理し、当該避難者への支援体制の構築について検討するものであります。
課題といたしましては、自主避難状況の把握及び当該避難者への支援体制や、避難対象地域外からの避難者がいたことが挙げられております。
課題に対する現状といたしましては、自主避難場所の把握方法が確立されていないことや、自主避難場所と市の連携不足があったことや、初動開設避難所や避難対象地域が市民に浸透していなかったと捉えております。
これらの課題の解決の方向性といたしまして、4つの提案となっており、一つ目の提案は、「自主避難状況の把握方法の確立」であります。
自主避難場所の施設管理者からの報告の義務化や、避難者からの通報に対応するための体制の構築が必要であるとの提案となっております。
2つ目の提案は、「自主避難場所への職員派遣」であります。
自主避難場所への職員派遣ルールの作成や、職員の派遣体制の強化に関する提案となっております。
3つ目の提案は、「初動で開設する避難所の見直し」であります。
避難実態に合った初動開設避難所の設定を行うほか、新たに設定した避難所への備蓄品を配備することとしております。
4つ目の提案は、「適切な避難行動の呼びかけ」となっております。
避難対象地域及び開設避難所の周知の強化のほか、開設している避難所の情報がわかる仕組みや、避難所標識の検討についての提案となっております。
最後は、災害対策本部・避難所連携強化ワーキンググループであります。
このワーキンググループの目的といたしましては、災害対策本部と避難所などの現場との間の情報共有・指示伝達の過程を検証し、迅速かつ的確な意思決定と現場運営を支える連携体制のあり方を検討するものであります。
課題といたしましては、災害対策本部で開設状況・避難者数をリアルタイムで把握できないことや、避難所間の意識統一が難しいこと、情報伝達にロスがあったことが挙げられております。
課題に対する現状といたしましては、一連の地震では、通信設備に被害はなく、電話が使用できる状況であったことから、避難所班本部と避難所の一対一での通信となったこと、現場への指示・情報提供は個別に行ったため、避難所ごとに受け取った情報が異なる可能性、避難所で従事する職員に対する研修は、毎年実施しているものの、備蓄品配布ルールや運営方針を統一できていなかったものであります。
課題解決の方向性といたしましては、3点の提案となっており、一つ目の提案は、「災害対策本部のデジタル化の推進」であります。
デジタルツールによる一斉通信を行う仕組みを導入し、迅速かつ確実に、情報伝達および共有を行うことや、災害対策本部や避難所の受付のデジタル化についての提案となっております。
2点目の提案は、「避難者への情報発信の強化」であります。
災害情報や必要な物資の手配・配送状況等、市の動きを見える化することの提案であります。
最後の提案は、「避難所運営スキルの向上」であります。
備蓄品の配布ルール、タイミングや、災害対策本部との情報共有・伝達の項目や内容、タイミングなどをあらかじめ策定することで、避難所従事職員が交代した場合でも、一定水準サービス提供を可能とし、避難所間のサービス提供の格差の解消を図るという提案であります。
以上が、検証チームによる検証結果及び、提案であります。
なお、この検証にあたり、協力していただきました市民の皆様、自主防災会、データを提供していただきました青森県警察本部、報道陣の皆様等、様々な関係者の皆様に改めて御礼申し上げます。
市といたしましては、これらの提案をふまえ、今後は担当部署において、必要な調整や検討を行い、各提案に示す実施時期の目安を参考に、できるだけ早期に実現できるよう、取組を進めてまいります。
更新日:2026年07月21日