八戸市スポーツ大使ふるさとセミナー@八戸工業高等学校(令和5年11月1日)
青森県立八戸工業高等学校
開催概要
開催日時
令和5年11月1日(水曜日) 13時35分~15時05分
講師(八戸市スポーツ大使)
上野 みなみ 様
(八戸市出身/日本自転車競技連盟 HPCJC所属)
内容
[講演]
テーマ:最後までやり抜くことの大切さ
参加者
青森県立八戸工業高等学校 全校生徒
会場
青森県立八戸工業高等学校 第1体育館
講演の様子
今回のセミナーは、八戸工業高校の創立80周年記念講演として、同校卒業生であり、自転車競技で日本の女子選手としてオリンピック・世界選手権の自転車競技全種目を通じて史上初のメダル(銀メダル)を獲得するなど、世界的にもご活躍された上野みなみさんのふるさとセミナーをご活用いただいたものです。
自己紹介等
ご講演する上野さん
まずはご自身のことについて、簡単に紹介がありました。
小・中学時代は剣道をしていたという上野さん。
防具の臭いや暑さであまり好きになれなかった中、
- 4つ上のお兄さんが自転車競技をしていたこと
- 誰しも高校から始める競技で可能性があること
などから、女子選手がいた八戸工業高校に進学して自転車競技部に入られたそうです。
講演に聴き入る生徒の皆さん
その後、憧れだった全国でただ1つの国立体育系大学で自転車競技の名門、鹿屋体育大学の自転車競技部へ進み、ますますご活躍されることとなります。
自転車競技についてもご紹介がありました。
主に7種類の競技がある中、上野さんが世界選手権で銀メダルを獲得したのは「トラックレース」のうちの中距離種目「ポイントレース」です。
トラックレースでは、最大で時速70kmを超えるスピードで走行するそうです!
自転車競技の主な種類
トラックレースの種目
現役時代について
現役時代は「自分ルール」を決め、
- やると決めたことは全力で
競技も遊びも自分でやると決めたら全力でやる。 - 途中で投げ出さずやりきる
コンディションが悪い時もあるけど、投げ出さずにやりきる。
「やめたい」という言葉は出さない。 - No Attack No Chance
大学の自転車部のスローガン。チャンスは自分でつかみ取る。
といった信念のもとで競技に取り組んでこられたとのこと。
しかしながら人より怪我が多く、決して順調な道のりではなかったそうです。
それでもこのようにご活躍できたのは、チームメイトや監督、メカニックやドクターのほか、スポンサーやサプライヤーといった多くの人の支えや協力があったからで、色んな人との関わりの中で自分の活動が成り立っていたと振り返っていました。
ここまでのご経験から、生徒の皆さんに「出会いは財産。色んな出会い・経験を大切に。」「あいさつ・コミュニケーションも大切に。」というメッセージを贈りました。
引退後について
29才と、年齢的にはまだまだ競技を続けられる中で引退した上野さん。
目指していた東京オリンピックの代表になれなかったこともあり、体よりも気持ちを持ち直すことが難しくなったことが大きな要因の一つとなりました。
どんなにつらくても「やめたい」という言葉を出さずに、やると決めたことは全力で続けてきた上野さんにとって、涙ながらの決意だったそうです。
引退後約半年間は、それまでずっと自転車競技に打ち込みアルバイトもしたことがなかったこともあり、「自分には何ができるんだろう」「自分がやりたいことってなに?」といったことを考えながら、とりあえず地元に戻って何もしなかったそうです。
「やると決めたことは全力で」やりぬいてきた信念上、「とりあえずやってみる」といった感覚で新しいことを始めることができずにいたところ、現役時代にお世話になった方からの誘いで、東京オリンピックのボランティアを引き受けることとなります。
自分が目指して出場が叶わなかった大会で、ライバルたちの活躍を見てサポートするということに迷いはあったものの、競技自体は好きでそれを間近で見られるということでボランティアとして従事することを決意。
ボランティアの活動の中で、違反等をチェックするための動画撮影を担当していたところ、ナショナルチームでも映像分析等のための動画撮影のスタッフを探しているとのことで、現在の「HPCJC」(注意)のスタッフの方から声がかかり、2か月後から仕事が決まったそうです。
その後、ジュニアコーチの話もあったそうですが、自信がなく決断できずにいたところ、日常の中で自分の背中を押すヒントを得たというエピソードをご紹介いただきました。
注意:「HPCJC」は、「High Performance Center of Japan Cycling」の略で、日本自転車競技連盟(JCF)トラック競技強化指定選手のトレーニングセンターとして、世界選手権やオリンピックでのメダル獲得を目指してアスリートを強化・育成する組織です。
転機となった「ハンバーガーの会」のエピソード
何名かいた外国人コーチから、度々食事の誘いがありましたが、英語での会話に不安があったことなどから、いつも「Maybe.」(たぶんね)というあいまいな返答をしていたそう。
そうしているうちに、その外国人コーチから「日本人の『たぶん』は行かないってことだよね。」と言われたことからこれではいけないと気付き、「やらないうちからできないと決めずに、まずはやってからできるかできないか決めよう」という考え方に切り替えられたそうです。
実際、食事に行ってみると楽しく、その後も日本人が上野さん1人でも参加するほどになったとか。
それを機にジュニアコーチを引き受けることを決意。
自分なりに工夫をしながら、強いジュニアの選手をエリート選手につなげる役割を担っているのだそうです。
現役時代に大会で一緒に写真を撮った子どもが強化選手となって現在指導していることや、八戸工業高校の同級生である三浦康嵩さんがスタッフとして同じチームで活動していることなど、過去に関わった人との巡り合いのエピソードもありました。
生徒の皆さんへのエール
最後に、上野さんのこれまでのご経験をもとに生徒の皆さんへエールが贈られました。
- 何事もまずはチャレンジ
初めてのことは不安なことがあるかもしれないけど、迷ったらチャレンジしてほしい。
やらない後悔よりやる後悔。
- 諦めずに続ける、継続する
最初はできなくても、諦めずにもう少し続けてみることが大切。
- 自分で最終的に決める
色んな意見を聞いた上で、流されずに自分で決める。
他人に決めてもらうと、できなかったときにその人のせいにしてしまう。
自分で決めたことであれば、結果的にできなくてもプラスに繋げられる。
「自分の可能性を信じて、人生を素晴らしいものにしてほしい!」
質疑応答
- 上野さんが在籍した当時の自転車競技部の部員数は?
15人~20人。
- モチベーションの上げ方は?
トレーニングの面では、誰かと一緒にして勝ち負けをつける。
ショッピングや食事など、自転車と離れたことをする。
- 高校時代の専門の勉強が役に立ったと思うことは?
(上野さんが在籍したのは現在はない「工業化学科」。)
専門色が強く、勉強自体は自転車競技に直接つながっていないところが多いが、学校生活での出会いやさまざまな経験が役に立っている。
- (先生からの質問)
ジュニアを指導する立場になって高校生をどのように見ている?
現在指導で関わっている子どもたちのことで言えば、しっかりと目標を持って活動している子たちではあるものの、あいさつができなかったり、声が小さかったりとコミュニケーションが苦手な人が多いと感じている。
話しやすい雰囲気づくりを意識している。
最後に
上野みなみさん
「少人数を前に話をすることはあるけど、こんなに大勢の前で『講演』という形で話をするのは初めてで緊張する。」とおっしゃっていた上野さん。
今回のご講演も「何事もまずはチャレンジ」という信念のもとでお受けいただいたものと思います。
担当の先生から「ご自身の経験を通して学んだことを等身大の言葉で講演していただき、とても分かりやすく生徒にも非常によく伝わる内容だった」とのお話をいただいたとおり、直接の先輩の貴重な経験談は、親近感も加わって生徒の皆さんの心にストレートに届いたのではないでしょうか。
上野みなみさん、本当にありがとうございました!
八戸工業高等学校の皆さん、お疲れさまでした!
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更新日:2023年12月07日