つつが虫病などのダニ媒介感染症に注意しましょう
ダニ媒介感染症とは、病原体を保有するダニに咬まれることによって起こる感染症の総称です。
人が野外作業や農作業、レジャー等で、これらのダニの生息場所に立ち入ると、ダニに咬まれることがあります。
病原体(ウイルスや細菌)を保有している場合、咬まれた人が病気を発症することがあり、国内ではつつが虫病や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ダニ媒介脳炎、日本紅斑熱などが知られています。
特に「つつが虫病」は、県内でも例年患者が確認されており、注意が必要です。
河川、山林、草地でレジャーや農作業を行う際は病原体をもったダニなどに刺されないよう、素肌を出さない服を着たり、帰宅後はなるべく早く入浴するなどの感染予防対策を心がけましょう。
つつが虫病について
つつが虫病は、病原体(細菌:つつが虫病リケッチア)を保有するツツガムシ(ダニの一種)に刺咬されることにより感染する疾患です。
流行時期
本県では、春~初夏(5月~7月)と、秋~初冬(10月~12月)に、発生のピークが見られます。
症状
5~14 日の潜伏期の後、典型的な症例では 39℃以上の高熱を伴って発症し、皮膚には特徴的なダニの刺し口がみられ、その後数日で体幹部を中心に発疹がみられるようになります。また、患者の多くは倦怠感、頭痛を訴え、患者の半数には刺し口近傍の所属リンパ節、あるいは全身のリンパ節の腫脹がみられます。
抗菌薬による確実な治療法がありますが、治療が遅れて重症になると、肺炎や脳炎症状を呈したり、播種性血管内凝固症候群(DIC)をおこすことがあり、致死率が高くなります。
その他の主なダニ媒介感染症
ダニ媒介脳炎について
ダニ媒介脳炎は、病原体(ダニ媒介脳炎ウイルス)を保有するマダニに刺咬されることにより感染する疾患です。
国内では1993年以降、北海道において患者が確認されており、令和6年6月に国内6例目となる患者が確認されています。
7~14日の潜伏期の後、発熱、頭痛、筋肉痛などの症状が出現し、昏睡、痙攣及び麻痺などの脳炎症状が出現することもあります。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、病原体(SFTSウイルス)を保有するマダニに刺咬されることにより感染する疾患で、2011年に初めて特定されました。
国内では、2013年1月に海外渡航歴のない方がSFTSに罹患していたことが初めて報告され、それ以降も西日本を中心に発生がみられましたが、近年はそれ以外の地域でも患者が確認されています。
6~14日の潜伏期の後、発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)が出現し、ときに、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などが出現します。
日本紅斑熱について
日本紅斑熱は、病原体(細菌:リケッチア・ジャポニカ)を保有するマダニに刺咬されることにより感染する疾患です。
国内では1984年に患者が初めて報告され、それ以降も関東以西の地域を中心に発生がみられましたが、近年はそれ以外の地域でも患者が確認されています。
2~8日の潜伏期の後、発熱、頭痛、倦怠感などの症状が出現します。つつが虫病に似ており、発疹が出ます。
回帰熱について
回帰熱は、病原体(細菌:ボレリア・ミヤモトイ)を保有するマダニに刺咬されることにより感染する疾患です。
海外で感染し、帰国後に発症した例を除き、過去数十年間国内での患者の報告はありませんでしたが、近年の遡り調査の結果、2011年以降に北海道で患者が発生していたことが明らかになりました。
12~16日程度(平均15日)の潜伏期の後、発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、関節痛、全身の倦怠感などの症状の出現が主で、ときに、神経症状(意識障害、痙攣、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸不全、出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)が出現します。
クリミア・コンゴ出血熱について
クリミア・コンゴ出血熱は、病原体(クリミア・コンゴ出血熱ウイルス)を保有するマダニに刺咬されたり、感染動物(特にヒツジなどの家畜)と接触したりした場合に感染する疾患です。
中央アジアや中東では毎年患者が発生しており、2016年にはスペインにおいて初めて患者が確認されました。
2~9日の潜伏期の後、発熱、頭痛、筋肉痛、腰痛、関節痛が出現し、重症化すると点状出血から大紫斑までの多様な出血がみられます。
特異的な治療法はなく、死亡率の高い感染症です。
ダニ媒介感染症の予防対策
ダニ媒介感染症を予防するには、ダニに咬まれないよう注意することが重要です。
山林、河川敷などの草地、耕地などに立ち入る際や立ち入った後には、次のことに気をつけましょう。
- 素肌の露出を避けるため、長袖、長ズボン、長靴、手袋などを着用すること。
- 草の上に腰をおろしたり、寝ころんだりしないこと。
- 作業中に脱いだ上着やタオルなどを草の上に放置しないこと。
- 肌を出すときは、ダニ忌避剤を塗ること。
- 山林などに立ち入った後はすぐに入浴し、念入りに体を洗い流し、皮膚に刺し口がないか点検し、早めに着替えて洗濯をすること。
かかったかなと思ったら
発熱しても、しばらくの間、医療機関を受診しなかったため、症状が悪化したという事例が数多く見受けられます。特に高齢者の場合は免疫機能が低下していることから、早期に適切な治療が受けられないと重篤化する可能性が高くなります。
1~2週間後にかぜのような発熱や発疹、リンパ節のむくみなどの症状が現れた場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。この場合、草地、耕地などに立ち入ったことや刺し口(ダニに咬まれた後にできるカサブタ)の有無を医師に話すことが必要です。
厚生労働省ポスター・リーフレット
- 今年もあなたの血を狙って奴らがやってくる!→ポスターダウンロード
- 「ダニ」にご注意ください→リーフレットダウンロード
関連リンク
この記事に関するお問い合わせ先
こども健康部 保健予防課 感染症対策グループ
〒031-0011 青森県八戸市田向三丁目6番1号 3階
電話:0178-38-0716 ファックス:0178-38-0736
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更新日:2024年06月27日