八戸市男女共同参画基本条例(仮称)意見書へ

更新日:2020年01月07日

八戸市男女共同参画基本条例(仮称)に対する意見

条例の名称:「八戸市男女共同参画基本条例」とするべきである。

 我が国では、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けて男女共同参画社会のための様々な取り組みが、国際社会における取組みとも連動して進められてきた。
 このような内外の動きに呼応して、八戸市では、これまで、女性問題に関する調査や啓発事業を行ってきた。以来、男女共同参画社会作りを総合的に進めるため、平成8年12月には「男女共同参画社会をめざすはちのへプラン」を策定し、男女共同参画の施策を積極的に展開してきた。
 しかしながら、今なお、さまざまな分野で性別による固定的な役割分担意識や性別による差別感が社会制度や慣行として存在している。
 このたび、国の「男女共同参画社会基本法」が制定されたのを受け、八戸市がさらに豊かで活力のある都市として発展を続けるためには、八戸市民の一人ひとりが、性別にとらわれることなく、個人としての人権が尊重され、その個性と能力が生かされることによって、あらゆる分野に参画することができる男女共同参画社会の実現が必要かつ急務の課題となっている。
 ここに、八戸市は、男女共同参画社会の実現を目指すことを決意し、その推進のための基本理念を明らかにするとともに、方向性を示し、男女共同参画のまちづくりを総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。

目的

第1条 この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定め、市、市民及び
事業者の責務を明らかにし、市の施策について必要な事項を定めることにより、男
女共同参画を、総合的かつ計画的に推進し、男女一人ひとりが生き生きと暮らせる
まちづくりに寄与することを目的とする。

内容
  1. 男女共同参画の推進にあたっては、市、市民のほか、事業者の取組みも必要であることから、三者の責務を明確にした。
  2. まちづくりは市民が主役であることから、1の三者の表記は、「市、市民及び事業者」の順とした。
  3. 八戸市における男女共同参画推進の目的を、男女一人ひとりが生き生きと暮らせるための市民主役のまちづくりの一環として位置づけた。

定義

第2条 この条例における用語の意義は、次の各号に定めるところによる。

  1. 男女共同参画 男女一人ひとりが、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
  2. 事業者その事業が営利を目的とするか否かにかかわらず、市内において事業活動を行う者をいう。
  3. 積極的格差改善措置 第1号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、その機会を積極的に提供することをいう。
内容
  1. 八戸市における男女共同参画の推進にあたっては、「男女共同参画社会基本法」(以下「基本法」という。)に留意しなければならないことから、基本法第2条の「男女共同参画社会の形成」及び「積極的改善措置」の内容を踏まえて規定した。
  2. 男女共同参画の推進にあたっては、企業などの法人をはじめ営利を目的とした企業のほか、NPOや町内会などの非営利団体においても留意されなければならない点を明確にするため、特に事業者の定義づけをした。

基本理念

第3条 市、市民及び事業者は、次の各号に掲げる事項を基本理念として、男女共同参画による市民主役のまちづくりを進めるものとする。

  1. 男女の人権が尊重され、男女が性別による差別的取扱いを受けることなく、個人として能力を発揮する機会が、均等に確保されなければならないこと。
  2. 男女が社会における活動の自由な選択をすることに対して、性別による固定的な役割分担等に基づく制度又は慣行が、影響を及ぼすことのないよう配慮されなければならないこと。
  3. 市における政策又は事業者における方針の立案及び決定に、男女が共同して参画する機会が確保されなければならないこと。
  4. 家族を構成する男女が家族の一員としての役割を果たし、互いの協力と社会の支援の下に、子の養育家族の介護をはじめとする家庭生活及びその他の社会生活における活動との両立ができるようにされなければならないこと。
  5. 女性の生涯における妊娠、出産、その他男女の性と生殖に関して、自らの決定が尊重されること及び健康な生活を営むことについて配慮されなければならないこと。
内容
  1. 八戸市における男女共同参画の推進にあたっては、基本法を踏まえた上で、条例で基本理念を定めることとした。
  2. 第1号は、基本法第3条(男女の人権の尊重)を踏まえたものであるが、基本法使用されている「尊厳」という言葉が一般市民にはあまり馴染まない、という意見があったことから、「男女の人権を尊重」という部分に意味を含めた。
  3. 第2号は、いまだに「男は仕事、女は家庭」というような固定的な性別による役割分担の意識が残っており、そのことが個人の職業選択や生き方にまで影響を及ぼしている、という意見があったことから規定した。
  4. 第3号は、八戸市の審議会等のほか、労働組合、経営者団体、教育・研究機関、PTA、協同組合等各種機関における方針決定過程に女性の参画が少ない、という意見があったことから、男女が均等に参画する機会が確保されるように規定した。
  5. 第4号は、男女共同参画の推進のためには、まずは家庭において、男女がともに家族の一員としての役割を果たし、その上で互いに仕事と家庭あるいは学校、地域活動などとの両立をしていくことが重要である、との意見があったことから規定した。また、両立のためには、介護保険等をはじめとした公的サービスのほか、家事代行等の民間サービスを利用する必要がある、との意見があったことから、「社会の支援の下に」と表現した。
  6. 第5号は、男女共同参画の推進にあたっては、女性も男性も、各人がそれぞれの身体の特徴を十分に理解し合い、思いやりを持つことが必要であり、妊娠・出産の機能を持つ女性の権利のひとつとされている、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康と権利)を盛るように意見があったことから、男女とも自らの決定が尊重されること及び健康な生活を営むことについて配慮するよう規定した。

市の責務

第4条 市は、男女共同参画の推進のための施策(積極的格差改善措置を含む。以下
同じ。)を総合的に策定し、実施しなければならない。

  1. 市は、男女共同参画の推進に当たっては、必要に応じて、国及び他の地方公共団体と連携して取組むものとする。
内容
  1. 第4条第1項は、八戸市が男女共同参画を推進する上で、グランドデザインを描きながら意識啓発をはじめ審議会等への女性委員の積極的登用を含む施策を積極的に実施するように意見があったことから規定した。
  2. 第4条第2項は、男女共同参画の推進にあたっては、八戸市が地域性を考慮しながら独自に推進しなければならない事業も今後あり得る、という意見があったことから、「必要に応じて」と表記した。

市民の責務

第5条 市民は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野の活動に、自
ら積極的に参画するとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協
力するように努めなければならない。

内容
  1. 第5条は、男女共同参画を推進する上で、市とともに市民の行う取組みの果たす役割が大きいことから市民の責務を明らかにし、性別にかかわらず、市民生活のあらゆる場面において、男女共同参画の推進のため、積極的に参画するべき、という意見があったことから規定した。
  2. 男性の家事への参加が少ないという意見が多いことから、「家庭」を明確にした。

事業者の責務

第6条 事業者は、その事業活動に際し、男女共同参画の推進に努めるとともに、市
が実施する男女共同参画に関する施策に協力するよう努めなければならない。

内容
  1. 第6条は、男女共同参画の推進の一環として、仕事と家庭の両立が大変重要なものである。特に事業者は、仕事と家庭を両立することが可能な職場環境を整備する必要がある、という意見があったことから規定した。
  2. 町内会などの非営利団体においても、固定的な役割分担の意識により、方針決定過程において、女性の登用が少ない、という意見があり、男女平等に機会を提供するよう意見があった。
  3. 事業者に対しての罰則規定や報告義務を課すように、という意見が多く出されたが、「男女雇用機会均等法」や「労働基準法」において既に規定されているものであり、罰則等を課すための明確な基準も必要になることから盛り込まなかった。

男女共同参画に関する教育

第7条 市は、市民が男女共同参画に対する関心と理解を深めることができるように
するため、学校教育をはじめとするあらゆる機会を通じて、男女共同参画に関する
教育及び学習の振興に必要な措置を講ずるものとする。

内容
  1. 第7条は、男女共同参画を進める上で、意識改革は最も重要なことであり、子どもの頃からの男女平等に関する教育の必要性や、学校教育のほか、家庭を含む社会
  2. 教育の場においても、男女共同参画に関する学習機会を提供して欲しい、との意見により規定した。
  3. 八戸市内の小・中学校において、男女混合名簿の導入が進んでいない、など間接的な男女差別につながることをなくさなければならない、との意見があり規定した。

市民及び事業者の活動への支援

第8条 市は、市民及び事業者が男女共同参画の推進に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

内容
  1. 第8条は、八戸市は、男女共同参画の推進に努めている事業者を紹介したり、表彰するべきであるという意見や、男女共同参画を推進する市民や団体に対し、各種資料等の情報提供や、それぞれが行う事業に対し、協力や支援をするべきである、という意見があり規定した。

性別による権利侵害の禁止

第9条 何人も、セクシュアル・ハラスメント(社会生活のあらゆる場面において、
他人を不快にさせ、または不利益を与える性的な言動をいう。)を行ってはならな
い。

  1. 何人も、ドメスティック・バイオレンス(婚姻の届出をしているかいないかにかかわらず、配偶者の関係にある者からの身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為をいう。)を行ってはならない。
内容
  1. 第9条第1項は、セクシュアル・ハラスメントについて規定したものであり、いかなる場所においても禁止するよう意見があった。
  2. 第9条第1項について、職場等にヌードポスターを貼るなどして他人に不快感を与える環境型のセクシュアル・ハラスメントと、性的な言動に対する相手方の対応により不利益を与える対価型のセクシュアル・ハラスメントについて規定するように意見があった。
  3. 第9条第2項は、夫婦間(内縁関係も含む)における身体的な暴力のほかに、言葉の暴力や生活費を渡さないなどの精神的な暴力も現実に存在するため、これらを禁止するよう意見があったことから規定したものである。
  4. 第9条第2項について、男女間とするように意見があったが、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」において、夫婦間(内縁関係も含む)の暴力を禁止していることを踏まえ、夫婦間(内縁関係も含む)に限定した。

公衆に表示する情報に関する留意

第10条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担を連
想させる表現並びに過度の性的表現を行わないように努めなければならない。

内容
  1. 第10条は、性別による固定的な役割分担や暴力、性の商品化を助長し連想させる表現、並びに過度の性的表現を禁止するよう意見があったことから規定した。ただし、表現の自由との兼ね合いもあり、努力規定とした。

調査研究

第11条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定及び実施のために、必要な
調査研究を行うものとする。

内容
  1. 第11条は、八戸市が男女共同参画を推進していく上で、現状を調査し、問題点を把握するとともに、解決に向けての施策を実施する必要がある、との意見があったことから規定した。

男女共同参画推進月間

第12条 市は、市民及び事業者の間に広く男女共同参画に対する関心と理解を深め
るため、男女共同参画推進月間を設ける。

  1. 市は、男女共同参画推進月間の趣旨にふさわしい事業を実施するものとする。
内容
  1. 第12条は、市民及び事業者に広く男女共同参画に関する関心と理解を深め、積極的な活動を促進するために推進月間を設けるよう意見があったことから規定した。
  2. 推進月間では、男女共同参画の推進のための啓発等にふさわしい事業を実施する旨、実効性のあるものとして盛り込んだ。

基本計画

第13条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図
るため、基本計画を定めなければならない。

内容
  1. 第13条は、基本法第14条第3項(市町村男女共同参画計画)により、計画の策定に努めなければならない、とされているが、八戸市が男女共同参画を総合的かつ計画的に推進するための指針として、この計画を策定することを義務として規定した。

年次報告

第14条 市長は、毎年、男女共同参画の推進状況及び施策についての実施状況を公
表しなければならない。

内容
  1. 第14条は、「プラン ドゥ チェック」の観点から、八戸市の男女共同参画の推進状況及び施策について公表、報告することで実効性をもたせるべき、との意見があったことから規定した。

相談体制

第15条 市は、男女共同参画の推進に関する施策及び推進を阻む事案について、他
の機関と連携し相談体制の充実に努めるものとする。

内容
  1. 第15条は、男女共同参画の推進を阻害する、暴力や雇用についての問題を受ける相談窓口を設置するよう意見があったが、すでに八戸市には、「市民相談室」や「家庭(児童)婦人等相談室」があり、市民からの相談を受け付けしていることから、多様化する相談に対応していけるように、「他の機関と連携し相談体制の充実に努める」ように規定した。
  2. 苦情の処理をするための処理機関を設置するように、という意見も出たが、苦情のレベルが八戸市で対応できる事案であれば、当然対応しなければならないが、国の法律や制度を変えなければならない事案については対応できないことから、苦情の処理については盛り込まなかった。

審議会の設置

第16条 市長は、男女共同参画の推進に資するために、八戸市男女共同参画審議会
(以下「審議会」という。)を置く。

  1. 審議会の職務は、次のとおりとする。
    1. 市長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を調査審議すること。
    2. 男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について、必要に応じ、調査し、市長に意見を述べ、又は提言すること。
内容
  1. 第16条は、現在、要綱により設置されている「八戸市男女共同参画社会推進懇話会」を、条例により設置するとともに名称を改め、市長の諮問機関とすることに規定した。
  2. また、これまでと同様に、自ら必要に応じ、市長に意見や提言ができるものとした。

委任

第17条 この条例に定めるもののほか、男女共同参画の推進に関し必要な事項は、
市長が別に定める。

内容
  1. 第17条は、この条例に定められている事項について、詳細な規定が必要な場合、議決によらず、市長が別途規則により定めることができることを規定したものである。

この記事に関するお問い合わせ先

総合政策部 市民連携推進課 男女共同参画推進室

〒031-8686 青森県八戸市内丸一丁目1番1号 市庁本館4階
電話:0178-43-9217 ファックス:0178-47-1485

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