平成23年度 トーキングカフェ
「震災から1年~女性が経験した被災地支援~」
平成24年3月24日、八戸ポータルミュージアム「はっち」において、東日本大震災の際に、被災者支援に活躍された女性の方々と市長との公開トーク「トーキングカフェ」を開催しました。
「震災から1年~女性が経験した被災地支援~」をテーマに、被災者支援の課題や復興に向けたまちづくりなどについて、意見交換が行われました。
震災被災者の支援
きっかけと支援活動の内容は
寺沢奈美子 氏
(八戸青年会議所常任理事)
中里藤枝 氏
(全国訪問ボランティアナースの会 キャンナス八戸代表)
寺沢:野田村と釜石市でボランティア活動をしました。野田村には久慈青年会議所からの応援要請を受けて震災から2週間後に入り、流木や壊れた家の片づけをしました。釜石市では青年会議所の災害支援ネットワークの一員として支援活動に携わり、道路の片づけや炊き出し、支援物資の配布を行いました。
中里:停電のため、キャンナスからのメールを確認できたのが2日後でした。次々と入る支援を求めるメールを見て、ガソリンがない状況でしたが、いてもたってもいられなく、気仙沼に向かいました。避難所の体育館には1800人もいて、水洗トイレが使えない、粉じんが多いという状況であったので、とにかく環境を整えるために、まずトイレと床の掃除を行いました。
藤村:いろいろな物資が集まっているけれども、配布する手段がなく困っているということを知り、私たちで何かできないかと考え、被災で困っている人に必要な物を必要な人に手渡すマッチング事業を行いました。
宮崎:災害ボランティアコーディネーターとして、災害ボランティアセンターの立ち上げと運営に携わりました。ボランティアセンターでは、電話で受けたニーズに対するボランティア派遣のマッチングをしました。
市長:それぞれの立場ですばらしい取り組みをされたと思います。市としては、避難所の開設、支援物資の支給などを行いましたが、避難所の指定の仕方とか支援物資支給の連絡体制に反省点があったと思っています。
支援活動で困ったこと
女性であることで不便を感じたこと
宮崎菜穂子 氏
(災害ボランティアコーディネーター連絡協議会副会長)
中里:着替えもしない、顔も洗わないという状況だったので、男とか女とかいう意識はありませんでしたが、力仕事の時に手を貸してくれる男性、無口になった男性にやさしく声をかける女性を見て、男性と女性がいることで、乗り越えることができると感じました。
藤村:女性だからこそできた事業という思いがありますが、困ったのはやはり力仕事で、荷物を運ぶとき力持ちがいないとすごく大変でした。
宮崎:ボランティアと現地の方が、打ち合わせをした上で活動をしますが、打ち合わせが上手くいかない場合もあり、男性のコーディネーターが調整してくれた事例があり、現地との打ち合わせは、男性の方が適していると思いました。
寺沢:女性という立場では、トイレの問題です。仮設トイレが現場付近には一切なく、水分を控えるなど、非常に苦労しました。
市長:女性ということでは、避難所生活でプライバシーが保たれない、女性用の生理用品や下着類が届いていない、ということを聞いています。被災者には女性・高齢者・障がい者といろいろな方がおりますので、ボランティアの配慮を含め、今後、防災計画などで考える必要があると思っています。
支援活動を通じて、よくやったと思うこと、良かったと思うこと
藤村幸子 氏
(はちのへ女性まちづくり塾生の会代表)
藤村:マッチング事業をするに当たり、公民館を回り、避難所生活の状況等を聞いており、生活者の視点・女性の視点で、話し相手になれたことはとても有意義であったと思っています。
宮崎:ボランティアセンターには光星学院高校のチアリーディングの女の子達がいて、帰ってきたボランティアに笑顔で声掛けをしたり、長靴を洗ってあげたりして、ボランティアにとって癒しになっていたと思います。
中里:よくやったと思うことは、物がないところで如何に工夫して物を作るかといろいろ考え、いろんな状況に対応できたことで、良かったと思うことは、活動の中で助け合いの輪が広がっていったことで、人間って優しいんだなあ、とつくづく感じて嬉しく思いました。
寺沢:釜石市では、女性用の支援物資は女性が担当した方が、市民が自分の要望を言いやすいとのことで、支援物資配布の窓口を任されました。震災直後は力のある男性が役立つ部分が非常に多いが、震災が長引くと女性にしかできない役割が非常にあちこちにあると感じました。
市長:おっしゃるとおりだと思います。市の例ですと、連合町内会ごとに職員を担当させる地域担当職員を活用し応援チームを作り、避難所世帯を回ってお話を聞きました。これはかなり効果があったと思っており、その際にも、女性特有の悩みとかもありますので、できるだけ、チームに女性を入れるように配慮しました。
八戸市の復興に向けたまちづくりについて
今後の防災体制・災害支援に期待すること
小林 眞(八戸市長)
寺沢:安否確認や避難経路を家族や会社でしっかり決めておくことが必要だと思います。自分達で、できることを準備しておくことが重要で、災害支援の情報をどうやって共有していくかも大切だと思います。復興については、海からの影響が大きい八戸は、海を中心に盛り上がっていければと思います。
中里:静岡県から支援に来ていたチームの行動が、臨機応変ですばらしく、東海地震に備えていつも訓練しているからとのことでしたが、すぐ動くことができる訓練の必要性を感じました。
藤村:女性・生活者の視点を重視することが大事で、女性の視点も年代によって全然違うので、そういった部分を八戸市として取り上げて欲しいと感じました。また、こういった震災の時こそ、隣組という関係が大事なので、隣組・町内会に重きを置いたまちづくりをやって欲しいと思います。
今回の震災を振り返り、どう行動してどうあるべきだったか、どんなことをしたのかということの検証が大事だと思います。また、各地区にボランティアコーディネーターを置く必要性があると思っており、ボランティアのの役割、行政の役割、それぞれ違うと思いますので、どのようにお手伝いしたらいいかということを考えたいと思います。
宮崎:
市長:皆さんが、おっしゃったとおりだと思います。どんな災害が起きるか分かりませんが、行政のできることは、最低限これだけは絶対に押さえておかなければならないことを必ずやっていくということで、市民レベルの視点、女性の視点を取り入れることが、重要だと思っています。また、それぞれの立場でやってきたことを検証し、共有すること、違う視点で見ること、そういう場を作ることも大事だと思います。
今日は、女性の視点での災害の対応という切り口でお話を伺いましたが、港湾・漁港・企業などは、まだ完全に回復していませんし、自宅に帰れない方も300人位おり、まだまだやらなければならないことが、たくさんあると思っていますので、これからもよろしくお願いします。
トーク参加者
- 寺沢 奈美子 氏(八戸青年会議所常任理事)
- 中里 藤枝 氏(全国訪問ボランティアナースの会 キャンナス八戸代表)
- 藤村 幸子 氏(はちのへ女性まちづくり塾生の会代表)
- 宮崎 菜穂子 氏(災害ボランティアコーディネーター連絡協議会副会長)
- 小林 眞 (八戸市長)
- コーディネーター:三浦 由起子 氏(BeFMパーソナリティー)
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更新日:2020年01月22日