重要文化財清水寺観音堂保存修理事業

更新日:2021年11月18日

屋根葺き替え後の清水寺観音堂

清水寺観音堂は、天正9年(1581)に建立された、青森県内最古の木造建築です。禅宗様の中世的仏堂として、東北地方北部の貴重な建造物であることから、昭和55年(1980)に重要文化財に指定されました。

観音堂はこれまで何度も修理されてきましたが、前回修理から約40年が経過し、茅葺き屋根の劣化が著しく、建物自体へ深刻な影響を及ぼす危険性があることから、国宝重要文化財等保存・活用事業費補助金(文化庁)を活用して、「重要文化財清水寺観音堂保存修理事業」として令和2年度から2か年計画で建造物保存修理工事を行いました。

重要文化財清水寺観音堂保存修理(令和2年度~令和3年度)(注意)終了しました

事業概要

事業者:宗教法人清水寺観音堂

事業期間:令和2年4月1日~令和3年10月31日

工事期間:令和2年11月1日~令和3年9月30日(うち1月、2月は休止)

工事内容:茅葺き屋根の全面葺き替え、木部の部分修理、建具金物の補修

設計監理:公益財団法人文化財建造物保存技術協会

工事担当:有限会社熊谷産業

事業指導:文化庁、青森県教育委員会、八戸市教育委員会(社会教育課)

総事業費

35,341,000円

内訳)修理工事経費25,542,000円、設計監理料9,504,000円、その他経費295,000円

事業進捗状況
令和2年 4月~12月 観音堂の耐震診断調査
  11月~3月 屋根の材料調達(宮城県石巻市北上川流域の茅場にてヨシを刈り取り)
令和3年 3月~4月 観音堂周囲に工事用仮設足場設置、屋根の解体
  4月~5月 屋根の木部補修(腐朽した木材の交換等)
  6月~8月 屋根葺き工事
  9月 検査等
  10月 事業完了

関連事業

文化財建造物や文化財保存修理技術の理解を深めるために、修理現場の一般公開を行いました。

*重要文化財「清水寺観音堂」保存修理現場見学会(終了しました)

日程:令和3年7月2日(金曜日) 是川地区住民向け、7月3日(土曜日) 一般申込者向け

会場:清水寺観音堂

主催:宗教法人清水寺

共催:八戸市教育委員会(社会教育課)

協力:公益財団法人文化財建造物保存技術協会、有限会社熊谷産業、八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館

清水寺観音堂あれこれ

なぜ「天正9年」に建立されたことが分かるの?

清水寺観音堂に残されている棟札の中に、「天正九年」と書かれたものがあるからです。

棟札とは、建物を新しく建てたときや修理をしたときに、その工事の内容や年月日、建築者や作業に加わった大工の職人の名前などを書き記した板のことです。

清水寺には多くの棟札が残されており、中でも古い「天正9年」「慶長9年」「慶長18年」の3枚は、観音堂とともに重要文化財(附指定)となっています。

観音堂はどんなお堂なの?

天正9年の棟札によれば、「奉為造栄一宇堂依立願也八戸新田之名跡十代左馬介政盛 天正九年辛巳五月吉日」とあり、天正9年(1581)に根城南部氏の一族である新田左馬介政盛が願主となって建立したことが分かります。これは、当時、是川は根城南部家の重臣・新田氏の領地であったことによります。

また、観音堂は糠部三十三観音巡りの2番札所となっており、古くから多くの参詣者が観音堂を訪れています。寛文年間から明治初期頃の絵馬も多数奉納されており、人々の篤い信仰を受けていたことがうかがえます。

観音堂はどれくらいの大きさなの?

桁行三間(柱部分を含めた幅約6.5メートル)、屋根の形式は宝形造となっており、ほぼ真四角の建物です。屋根は茅葺き、屋根の頂上には芝棟が造られています。平面積42.445平方メートル、屋根面積186.000平方メートル、地上から屋根の軒先までは約4メートルあり、芝棟部分も含めると全体で約9.7メートルの高さがあります。

これまで何度修理されてきたの?

天正9年に造営されてから現在まで、大規模な修理は5度行われています。この過去の修理歴は、清水寺に残されている棟札や、昭和57年から58年にかけて行われた観音堂の全解体修理の際に行った痕跡調査によって判明しました。

清水寺観音堂の修理歴
第1次改造 再興:享保7年(1722) 半解体修理
第2次改造 修理:文化13年(1816)
第3次改造 修理:明治20年(1887)
第4次改造 屋根改築:昭和3年(1928) 茅葺きから鉄板葺きに戻す
第5次改造 全解体修理:昭和57年(1982)~昭和58年(1983) 屋根を茅葺きに戻す
第6次改造 屋根葺き替え:令和2年(2020)~令和3年(2021)

このほかに、簡単な部分修理や屋根の葺き替えがたびたび行われてきました。

清水寺はどんなお寺なの?

清水寺に残されている記録によれば、平安時代に天台宗の高僧慈覚大師(円仁)によって開かれた寺であると伝わっていますが、定かではありません。別の記録には、清水寺は観音堂の別当寺(江戸時代以前に神社を管理するために置かれた寺のこと)として建立されたとも言われています。

『新撰陸奥国誌』によれば、清水寺の開山は月秀という人物で、当初は天台宗でしたが、江戸時代の寛文年間(1661~1673)の頃に一時的に真言宗へ改宗し、寛保年間(1741~1744)の頃に再び天台宗へ戻しています。明治2年(1869)には、真宗大谷派に改宗し、現在に至っています。

この記事に関するお問い合わせ先

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