小沼 勉

更新日:2020年01月16日

小沼 勉(おぬま つとむ)

明治36年(1903年)~昭和59年(1984年)

-教育界に新風を吹き込んだ全人教育者-

小沼 勉 さんの写真

明治36年(1903年)青森市に生まれた。青森師範学校に入学すると、大正9年(1920年)に同校を訪れた小原國芳(元玉川大学学長)が説いた自由主義教育に傾倒していった。卒業後は青森県内各地で訓導(現在の教諭)、校長を務め、戦時中は青森県視学として学校の授業監督と教育指導に携わった。

終戦後八戸市立三八城青年学校校長に転じ、新制中学校誕生とともに初代小中野中学校校長となった。知識教育に偏ることなく、個性を尊重し、豊かな人間性を育む全人教育を目指した小沼の学校運営は、小中野中学校方式や小沼方式と呼ばれ、教育界に新風を吹き込んだ。その理念は、郷土博物館、植物園、茶室を備えた自由研究室など、当時としては画期的だった施設の設置にも表れている。とくに体育館に先んじて昭和27年(1952年)に建設した独立図書館は、学校図書館教育の先駆けであった。

また生命の大切さを伝えるために、スイスの詩人エミールの言葉「ひとつのつぼみは、いちどしかひらかない」の揮毫を書家宇山博明氏に依頼し、講堂に掲げた。その後小沼の精神は、小中野中学校で脈々と受け継がれている。

昭和34年に退職した後も、青森県社会教育委員や鯵ヶ沢町教育長などを歴任し、生涯、教育の道を貫いた小沼には、昭和47年に学制百年を記念して文部大臣から表彰状が、昭和51年には勲五等雙光旭日章が授与された。

ひとつのつぼみはいちどしかひらかないの

小中野中学校体育館に掲げられるエミールの詩

今が大事 今一歩 小沼 勉

生徒たちに説き続けた言葉(個人蔵)

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