前田 長吉
前田 長吉(まえだ ちょうきち)
大正12年(1923年)~昭和21年(1946年)
-伝説の天才騎手-

是川村天狗沢で農家の八人兄弟の七人目、四男として生まれる。幼いころから家の馬の世話をするのが長吉の日課であった。また、闘鶏も育て14歳の時に八戸市養鶏組合の品評会で三位に入賞している。
昭和15年(1940年)、日頃から出入りしていた産馬組合で競馬の情報を得、騎手を目指し上京。血のにじむような厳しい修行を積み、17年見習い騎手となる。その三ヵ月後、東京競馬場で初デビューし圧倒的な強さで優勝を飾った。
牝馬クリフジに騎乗したすべてのレースで優勝を遂げたことにより、長吉は大騎手へと成長した。その中でも、18年に20歳3か月という若さで優勝した東京優駿競走(日本ダービー)での最年少記録は、未だに残されている。クリフジの引退後も、翌年の東京優駿競走で八戸市のタイヘイ牧場産のシゲハヤに騎乗して二着になるなど、数々の好成績を残した。
19年9月正式に騎手となったものの、その2週間後に赤紙が届き満州へ出征。敗戦後シベリア抑留で強制労働を強いられ、21年、23歳の若さで短い生涯を終えた。平成12年(2000年)遺骨収集団により、シベリアから身元が分からない遺骨が日本に持ち帰られ、DNA鑑定の結果、その一人が長吉の遺骨であると判明。18年家族のもとへ62年振りに返還された。

第12回日本ダービー(昭和18年)で優勝した騎手の長吉とクリフジ

長吉が使用した馬具(左:鉛入りのチョッキ 右:長靴 右上:拍車 下:鞭)
更新日:2020年01月16日