今渕 正太郎
今渕 正太郎(いまぶち しょうたろう)
明治21年(1888年)~昭和32年(1957年)
-”今渕コレクション”を築いた古美術収集家-

八日町で「今渕医院」を営む医師正苗の長男として鳥屋部町に生まれた。旧制第四高等学校(金沢市)在学中から古美術に興味をもち、特に仏教美術に傾倒して仏像などの収集を始めたという。
京都帝国大学卒業後、朝鮮に渡って働くが間もなく京都に帰り、大正12年(1923年)にせつと結婚、東京四谷に移住した。昭和3年(1928年)不動産会社「今渕保正社」を設立、東京や京都の経済界で活躍する一方、あらゆる分野に及ぶ古美術の収集を続ける。
戦後、郷里八戸に戻った正太郎は郷土資料の収集に力を注ぎ、鎌倉に移った後も地元八戸と美術館建設の話を進めていた。そこには、郷土に文化の薫りを高めたいとの願いが込められていたが、昭和32年(1957年)志半ばでその生涯を閉じた。
その後、意志を受け継いだ夫人せつから、八戸ゆかりの資料約460点が八戸市に一括寄贈され、「今渕コレクション」として八戸市博物館に収蔵・展示されている。中でも、八戸南部家ゆかりの婚礼調度の品々と、幕末から明治初期にかけて活躍した日本画家橋本雪蕉の作品群は貴重な資料である。
博物館に展示されている婚礼調度品(八戸市博物館所蔵)

橋本雪蕉作「香爐瀑布図」(八戸市博物館所蔵)
更新日:2020年01月16日