【八戸特派大使通信】第30回 佐々木 次彦

更新日:2020年01月07日

佐々木 次彦(ささき つぎひこ) / 音楽プロデューサー

佐々木 次彦さんの写真

八戸市生まれ。映画「クイール」「血と骨」「舞妓Haaan」「サイドカーに犬」などの音楽プロデュースの他にコンサートやオペラの制作も手掛ける。

兵庫県三田市総合文化センター(郷の音ホール)の事業プロデューサーも務める。

音に携わる職業に就いて二十数年たった今でも、“音”が人の心に働きかける不思議な力を持っていることを思い知らされる瞬間があります。特に映画で使われる音は、ほんの小さなことが変わっただけで、そこから得られる印象がまったく違う場合があるのです。

例えば同じ音楽を同じ大きさで流しても、スタートするタイミングがほんの数秒違うだけで印象は変わってきますし、ましてや音色や音の大きさのちょっとした違いによる印象の差異は言うまでもありません。

悲しい場面には悲しい音楽をつけることが多い映画でも、逆に陽気な音楽や感情を表に出さないたんたんとした音楽をつけたことで、より一層悲しさを増す場合もあります。聞こえてくる音のキャラクターによって、悲しいはずが楽しかったり、楽しいことが悲しくも感じられるのです。

このように音への人の感じ方は複雑で、しかも決まった公式がないために、私はいろいろな映画を担当する度に新たな驚きに出会えていると思っています。

音が持つ“人の心を揺さぶる力”は、“感動”というかたちで心に残ります。それは決して音の種類や質のよしあしだけに関係しません。またクラシック音楽だからとか技術的に高いからという理由だけで感動するわけでもありません。もちろん世界の一流演奏家の演奏には感動するでしょうが、アマチュア演奏家にも同じような感動を覚えるのです。これが音楽の一番の魅力だと、私は思っています。

中学・高校と八戸での吹奏楽に熱中した時に覚えた感動や、もっとさかのぼれば小学生の時に古い市民会館で聴いた『パリ木の十字架少年合唱団』は今でも忘れられません。そんな八戸での少年時代が、現在私が“音”にかかわることになった原点では‥と昨今思っています。

 (「広報はちのへ」平成19年 10月号掲載記事)

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