【八戸特派大使通信】第35回 宮本 まき子

更新日:2020年01月07日

宮本 まき子(みやもと まきこ)/家族カウンセラー・エッセイスト

宮本 まき子さんの写真

昭和45年津田塾大学卒業。22年間の電話相談室勤務を経て、平成元年に執筆活動開始。 以後フリーライター、エッセイスト、評論家として新聞、雑誌、テレビなどで活躍。平成11年より国立山梨大学非常勤講師、平成16年 有限会社オフィス・ミヤジンを設立。著書に「『熟年離婚』より『孫育て』」「孫ができたら読む本」(3月発売予定)などがある。

八戸つれづれエッセイ

「当地活性化の提案は?」どの地方都市に行っても聞かれる課題である。いまや伝説となった12年前の某社入社試験問題 「(当時最下位低迷中)連続負け試合記録をもつ浦和レッズを優勝させる方法を述べよ」に匹敵する難しさだが、そのレッズが苦節の末優勝している。ヒトのやることに不可能はないと励まされるようだ。

八戸の観光も種差海岸の野生芝の美景、 蕪島の人懐っこいウミネコ、華やかな三社大祭、新しいところではえんぶりのポスターなどが東京駅に貼られてじわじわと知名度をあげてきた。八食センターやレトロな屋台村は私のエッセイの常連だ。しかし惜しいかな、これらをつなぐカナメの観光目玉がない。一巡した客にはやてにとび乗られるのはしゃくである。

ネギを背負ったカモ、じゃなかった、観光客を長期滞在させるために「是川遺跡を掘らせよう」と提案したところ、「文化庁が許可しない」としぶられた。でも三内丸山遺跡に匹敵する看板娘である。あっさり諦めるにはあまりにもったいない。

ここ数年で大量定年を迎える団塊の世代は自称「個性派」で、他人がやらないことをしたがる傾向がある。「パリ・ロンドン7日間の旅」より、「悠久のロマン、掘り当てるか縄文土器!の是川ステイ7日間」のほうにわくわくひきつけられるだろう。広大な遺跡の掘り起こしに二百年かかるというが、期間を短縮するためにも「熟年離婚回避ツアー」で大募集し、市内観光でもてなしながら夫婦で協力しあって一坪掘らせよう。掘り当てたら「○○夫妻」の名前入りの土器にして展示、毎年発掘記念日を祝い、将来は子孫の来訪をまちをあげて歓迎する。

カモは400万組もいるのだから、当たればあっというまに発掘終了する。こういう遊び心も地方の活性化には必要だ。すばらしいものも多いが八戸の最大の魅力はなんといっても「ヒト」である。素朴だけど温かく、無口でも優しい人々に迎えられて、わくわくと心はずませて駅に降りたつ。そんな「幸福感」こそ、心乾いた現代人が欲しがっているものなのではなかろうか。

(「広報はちのへ」平成20年 3月号掲載記事)

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