【八戸特派大使通信】第1回 梅内 美華子
梅内 美華子(うめない みかこ)/ 歌人
昭和45年八戸市生まれ。昭和63年八戸市文化奨励賞。平成3年、「横断歩道(ゼブラゾーン)」50首で、第37回角川短歌賞。平成13年、歌集「若月祭(みかづきさい)」で、第1回現代短歌新人賞。
短歌の課外授業
東京で生活して12年。会社勤めのかたわら、短歌などの執筆活動をするのも同じ年月続けてきました。八戸にはお盆と正月に帰省するぐらいです。
昨年6月25日には、地元の小学生の皆さんと交流をもつ機会に恵まれました。八戸ロータリークラブのご依頼で、小学生か中学生に短歌の実作指導をやってくれないかというお話がありました。テレビ番組の課外授業のような感じで、ふるさとの後輩に自分の専門分野を教え交流する、そういうご依頼でした。
子どもたちに短歌を教えるという経験はなかったので当初は躊躇(ちゅうちょ)しました。どうしたら短歌のかたちを理解してもらえるか、時間内に短歌を作れるだろうか、短歌や私に興味を持ってもらえるか、という不安がありました。そして自分自身が短歌を始めた小学4年のときの場面や気持ちを思い出しながらレクチャーの内容を考え始めました。
私の課外授業を受けてくださることになったのは、桔梗野小学校の5年生70名。当日、校長先生のお許しを得て、5年生と私は学校中を探検して、他学年の授業をのぞいたり、プールや用具室や給食準備室をまわって、これまで自分が知らなかったことを見つけようとしました。それを短歌にしてみようとしたのです。短歌という五七五七七という定型も大事ですが、探す、考える、発見するというのは、詩を書くときの一つの姿勢であり、ヒントであるからです。短歌は小さな詩である、身の回りの小さなことでもいいから何かを発見する。そういうことを体験してもらいたかったのでした。 このような歌が発表されました。
「地下室は ものがたくさん はいってる そこがもっとも ひみつの部屋だ」
「落し物 まいごになって どうしよう 早くもどって 使われたいよ」
グループで一首、一人で一首と、思っていたよりもたくさんの短歌が発表されたので、私のほうが驚きました。私はほんの少し、言葉を定型にあてはめることのアドバイスをしただけです。
大きな贈り物をもらったのは私のほうでした。これからも表現について地元の方々と一緒に考え、楽しむ機会がもてたら、私は果報者です。
(「広報はちのへ」平成17年 5月号掲載記事)
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更新日:2020年01月07日