【八戸特派大使通信】第8回 神 信一

更新日:2020年01月07日

神 信一(じん しんいち)/ 海外投融資情報財団理事長

神 信一さんの写真

昭和17年東北町生まれ。昭和36年八戸高校卒。東北大学、日本輸出入銀行、オックスフォード大学、国際協力銀行(副総裁)を経て、現在、海外投融資情報財団理事長。東京都在住。

郷土愛と国際人

昭和36年に八戸高校を卒業、その頃から将来は広い視野から世界全体を眺めてみたい、といった漠然とした気持ちを持っていました。大学卒業と同時に、国際金融を担当する政府の銀行である「日本輸出入銀行」に入行、その後、政府開発援助も担当することとなり、名称も「国際協力銀行」に改称されましたが、通算で40年近く両行に奉職することとなりました。

世界130か国に融資し、外国政府、外国政府機関、国際機関の人達とも交渉し、面談する機会が多くありました。育った環境、文化、伝統、歴史が違うと、ものの考え方、立場も違ってくるわけですが、そういう時に、自分の立場を如何に相手に納得してもらうかということが大事になります。そこで学んだことは、誇りを持って自分の国のことを語れる人でないと、相手にも信用されないということです。よく海外に出て自国のことを自虐的に言う人がいますが、こういう人はそもそも相手に信用されません。そして本当の郷土愛を持っている人でないと、本当の祖国愛も持てないということを学びました。

英語の『インターナショナル』ということはナショナルが基本にあってできた言葉です。基本はナショナルなのです。自らの郷土、国に誇りを持てない人は国際人としての資格がないといっても過言ではありません。

最近は世界の貧困撲滅のためにとか、世界平和のためにとか言って外国に出て行く日本人も多くなりましたが、そういう人のなかには郷土愛、祖国愛がなくて「いきなり国際人」という人もよく見かけます。外国の人から見るとこういう人は、アイデンティティのない根無し草のような人と見られ、交渉の相手として信用されないということがよくあります。自分の郷土、国、文化、伝統、歴史に誇りを持ち、自分のアイデンティティをしっかりもって相手と向き合うこと、それが相手からも尊敬され自分の立場も理解してもらえることにつながるのです。

先般、十日市秀悦さんの「イサバのカッチャ」東京公演を観て感激しました。八戸を離れて44年、改めて郷土愛に励まされ、元気をもらいました。八戸に感謝しています。

 (「広報はちのへ」平成17年 12月号掲載記事)

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