【八戸特派大使通信】第21回 小林 茂

更新日:2020年01月07日

小林 茂(こばやし しげる)/北海道国際航空株式会社(エアドゥ)代表取締役副社長

小林 茂さんの写真

昭和24年宮城県生まれ。48年3月早稲田大学政治経済学部卒業。 4月北海道東北開発公庫入庫。その後、同東北支店次長、調査情報部長などを経て、平成11年10月日本政策投資銀行政策企画部長、13年6月同中国支店長、15年6月同監事。 同年財団法人北海道東北地域経済総合研究所顧問。17年6月より現職。現在、横浜市在住。

新幹線延伸からまもなく四年になる。終着駅八戸駅には「はやて」が開業以前より多くのお客様を運び活況を呈している。北への延伸工事は八戸上空を飛ぶエアドゥ札幌・羽田便などの車窓から順調に推移している様子が望まれる。上空からは八甲田山トンネル付近をはさんで青森までの高架橋や工事の様子がはっきり確認できる。青森開業が近づき暫定終着駅である八戸駅の将来を危惧する向きもある。

山陽新幹線岡山駅は三年で終着駅の役割を終えている。昭和47年3月の開業で岡山駅の乗降客は1・6倍に増え周囲の観光地は二倍近い入りこみ客が訪れ活況を呈した。宿泊施設や観光施設は整備の遅れから人であふれかえった。しかし三年後の博多開業で急速に人の流れは減少し、岡山駅は落ち着きを取り戻す。このことから地元を含めて岡山開業の効果はわずか三年で終わったと自嘲気味に話されることが多い。

青森開業、やがては新函館、さらには札幌まで伸びれば八戸は通過駅になってしまう。新幹線に期待しても無駄かもしれないといった声も聞くがそうであろうか?実は岡山は新幹線開業を契機に発展を続けている。

一時的なブームは終焉したが地元では新幹線開業を契機とした壮大な街づくりがスタートしていた。大規模な地下街を含む駅前開発や、離れていた中心市街地との連携した整備が進み、都市機能は飛躍的に向上した。開業ブームは過ぎたが中国地方や四国地方もにらんだ岡山の拠点性に着目して企業立地が進み、交通・流通機能なども集積した。開業から30年余岡山の拠点性は高まり、今日では周辺もあわせて都市圏人口は優に百万人を超え、広島と中国地方の首都を競い合うまでに成長している。

終着駅ではなくとも静岡や浜松、宇都宮など新幹線を機に大きく飛躍した都市も多い。終着駅の役割を終えた盛岡は都市機能が充実し周辺地域の発展をリードしており、新幹線効果は定着した。

新幹線は地域のポテンシャルを顕在化させる手段であり、地域がどのように活用するかで効果は異なってくる。八戸都市圏は仙台以北札幌までの間で有数の人口と産業集積を有している。長い歴史と文化にはぐくまれた人材も豊富である。その基盤を踏まえ、都市機能整備や観光振興に新幹線効果を生かしていけば、やがては北東北初の政令指定都市への移行も夢ではない。

(「広報はちのへ」平成19年 1月号掲載記事)

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