【八戸特派大使通信】第46回 山田 由美子
山田 由美子(やまだ ゆみこ)/ グランドヌメア高校 日本語教師
鹿児島県奄美徳之島生まれ。玉川大学文学部仏語科卒業。パリ大学東洋語学科日本語、日本文化コース卒業。マーヌラバレ大学修士課程修了。パリ第4大学ソルボンヌ博士課程修了。
昭和59年からニューカレドニアの中学校・高校などにおいて日本語教師を歴任し、平成12年から現職。
平成2年から平成19年までニューカレドニア大学講師。ニューカレドニアで 使用する日本語教科書の作成に携わるほか、小学校教員採用試験日本語試験問題作成責任者も務めている。ニューカレドニア在住。
八戸に魅了されたニューカレドニアの高校生
平成21年7月ニューカレドニアの高校生を引率して10日間八戸を訪れた。交流目的で八戸を訪れるのは平成10年以来4回目になる。大平洋金属がニューカレドニアからニッケル鉱石を輸入していることが発端になっている。ニッケルだけでなく人の交流を行おうと考え、平成9年にこちらを訪れた当時の市長並びに教育関係者の発想はすばらしいと思う。経済一辺倒ではなく青少年の交流となると、文化、歴史といった各国が蓄え続けた英知の交流となるからだ。
さらに、ニューカレドニアはフランスの海外領土であり公用語は仏語である。日本の教育関係者がニューカレドニアの青少年と交流を行いたいと知ったとき、 私はこれだ、この縁は大事にしなければいけないと直感で思った。そして、当時中学で日本語を教えていた私は二つ返事でこの申し出を受けた。
真の交流になると思った理由は二つの国の益になるからだ。もちろん、ニューカレドニアの生徒たちはあこがれの国、日本で実際の日常生活を通じて日本という国を肌で体験しながら学ぶことができる。また、日本の方では「外国語」イコール「英語」イコール「国際化」という考え方に疑問を持つ。日本では英語を通じて世界を知ろうとする。けれども英語は世界に1500から6000ある言語のひとつにしかすぎないし、すべてのことが英語に訳されているわけでもないので英語をもって知ることができることはごく一部にしかすぎないのが現実だ。
どの国も多くの国と直接関係を持っているのに日本は英語を通してしか見ようとしない。サミットのいい例がある。 日本だけが英語以外の外国語を英語に訳し、それを日本語にする。反対の時も英語を通していく。英語を経由するたびに微妙なニュアンスは捨象されてしまう。
今回のニューカレドニアの生徒たちも今までイメージしていた日本を刷新した。八戸の生徒たちの規律正しさの中のユーモア精神、ホームステイの家族の寛大さ、思いやり、学校関係者の配慮などひとつひとつに「感動」していた。「情」と「和」を目からうろこが落ちたように体験した。つたない日本語と英語を駆使して感動と感謝を伝えようと一生懸命だった。ニューカレドニアの生徒たちの目に映った八戸は自然が美しく文化的で、人は優しく笑顔を絶やさないし、つねに最善をつくしている。学校では生徒間、生徒と教師間の関係が密接に映った。ある生徒は「八戸の方が天国に一番近い島だよ。」と言っていた。
今回の交流は日本国外務省所管の独立行政法人国際交流基金の助成を受けた。ふたつの国が築き上げてきた交流がこのように評価された喜びを関係者たちと分かち合いたい。
(「広報はちのへ」平成21年 12月号掲載記事)
この記事に関するお問い合わせ先
総合政策部 広報統計課 シティプロモーション推進室
〒031-8686 青森県八戸市内丸一丁目1番1号 市庁本館4階
電話:0178-43-2319 ファックス:0178-47-1485
更新日:2020年01月07日