【八戸特派大使通信】第65回 下田 栄子

更新日:2020年01月07日

下田 栄子(しもだ えいこ)/ 舞踊家、黒沢輝夫・下田栄子モダンバレエスタジオ主宰

下田 栄子さんの写真

昭和7年八戸市生まれ。新舞踊をしていた姉の影響で自己流の踊りをはじめ、水野利雄の下で洋舞踊を学んだ後、昭和22年に上京。大野弘史・和井内恭子に師事。文化庁芸術祭優秀賞受賞、舞踊批評家協会賞など受賞多数。代表作「水上勉シリーズ」。

ふるさと八戸の事を想うと、いつも私は胸がキューンとして幼い頃のことが、海の色、波の音が聞こえてきます。鮫で育った私は、あの蕪島、まだつり橋の頃ゆらゆら揺れる橋を渡り、途中で下の海が、丸見えの波にしゃがみこみウミネコに追われ助けを叫んだ事…。蕪島神社は遠い、離れ島でした。時代が変わり、蕪嶋神社二千年祭り

には、画家の久保田政子さんと祝舞を納め、ウミネコの鳴く神社で感無量でした。そして、あの種差海岸の芝生では、まるで天女の様なジャンプ姿が、今でも稽古場に「種差海岸で」と記して飾られています。

40代頃は、水上勉作品で先生の代表作を全部踊り、八戸にも足をのばした先生のお供をしました。その日の海は、なぜか怒ったように荒れていました。「八戸の海はいつもこんなに荒れ狂っているのか?」と聞かれて、戸惑ったことを覚えています。そして、「父と子」の小説ができました。

左:男性、右:女性がそれぞれダンスで高くジャンプしている2枚のモノクロ写真

「越前竹人形」は帝国劇場で踊り、デーリー東北賞を頂き、八戸公演「五番町夕霧楼」は東高校に招かれました。近年では、東高校同窓会 松友会の招きで全国一位文部大臣賞受賞作品を披露させてもらい、八戸あっての私の踊りです。

海外公演も南仏のアルルサマーフェスティバル、ギリシャのキプロス島でのリマソール芸術祭の中では、「八戸小唄」「えんぶり」、八戸市長のメッセージを各首長に渡すことができて。若さいっぱいの頃を書きながら想い出しています。80代に入り体は重いですが、心は昔のままに燃えています。娘・美香は、11月17、18日に私のふるさと八戸南郷文化ホールでの公演に招かれ、黒沢美香&ダンサーズが公演に行きました。

いつの間にか娘の時代になったと、これも感無量です。同じこの日に神奈川舞踊協会でヨコハマコンペティションがあり、私は審査員、生徒は一位をとれ、八戸、横浜と離れていても同じ日に舞台があった事も不思議に思っています。

南郷という所は私はまだ知りませんが、素晴らしいホール、美しい町、八戸の方々の親切にダンサーズ皆感動して、さらに、私の好きな種差海岸にも観光できて、「八戸最高!!」と帰ってきました。私は、すごくその声がうれしくふるさとを誇らしく思っています。

これからも、八戸を愛し踊り続けます。

(「広報はちのへ」平成25年2月号掲載記事)

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