廃食用油利活用事業

更新日:2024年04月05日

市では、家庭から出る植物性の廃食用油(使用済みの天ぷら油や古くなった食用油など)を回収して、BDF(バイオディーゼル燃料)に加工し、石油燃料の代替燃料として使用する、廃食用油利活用事業を進めています。

1.事業目的

植物を原料とする食用油は、添加物を加えることにより軽油代替燃料のバイオディーゼル燃料(BDF)となり、欧州などで積極的に利用されているほか、国内の一部の自治体でも利用が進められています。

BDFは植物由来の燃料であることから、石油製品の使用削減につながり、二酸化炭素の排出抑制が図られるという、環境面で優れた特性を持っています。

このことから、それまで一般家庭から可燃ごみとして排出されていた廃食用油を拠点回収し、BDFを製造して燃料として使用することにより、環境負荷の低減を目指すことを目的としています。

BDFの環境に優しい点

ごみの減量

燃やせるごみに廃棄していた油をリサイクルします。また、油を捨てる際に染み込ませるのに使用した新聞や布などが不要になることで、ごみの量を減らすことができます。

化石燃料(石油製品)の使用量削減

廃食用油を利用することで、化石燃料(石油製品)の使用量を削減することができます。これにより、二酸化炭素排出抑制による地球温暖化防止につながります。

環境に優しい排気ガス

軽油を使用した場合の排気ガスと比較して、BDFを使用した場合の排気ガスは黒煙が少ないです。

2.事業経過

平成16年度

  • 11月~1月 廃食用油モデル回収
    (注意)市内スーパーマーケットの協力を得て、4箇所での拠点回収を実施。3ヶ月で1,142リットルの廃食用油を回収。

平成17年度

  • 11月 農林水産省「バイオマスの環づくり交付金事業」の内示。
  • 12月~3月 設備設置、試運転など。

平成18年度

  • 6月 農業交流研修センター(現:農業経営振興センター)トラクターで試験走行開始。
  • 8月 「青森県バイオマス利活用推進事業」の内示。
  • 9月1日 廃食用油利活用事業の本格始動。
    (廃食用油の拠点回収開始、BDFの製造開始)
  • 9月4日 BDF使用ごみ収集車出発式。

平成29年度

  • 4月~ 市のBDF製造装置での燃料製造と公用車での使用を中止。
    回収された廃食用油を全量を民間のBDF製造業者に売却し、製造された燃料は民間の工場の燃料として利用される。

3.事業費

(単位:円)

平成17年度事業費内訳
年度 BDF製造装置 工事請負費 廃食用油回収ボックス製造費
平成17年度 4,900,000 2,403,450 289,800 7,593,250
(うち交付金3,796,000)

(注意)以下の表については、平成22年度より、廃食用油収集委託と製造装置運転委託の契約を一本化

平成18年度から令和5年度年度事業費内訳
年度 廃食用油
収集委託
製造装置
運転委託
保守点検委託 消耗品購入
平成18年度 689,188 462,000 311,640 480,602 1,943,430
(うち交付金731,000)
平成19年度 1,176,921 1,143,433 299,000 796,787 3,416,141
平成20年度 1,162,000 1,387,000 298,935 826,340 3,674,275
平成21年度 1,230,000 1,430,000 338,100 929,514 3,927,614
平成22年度 2,550,000 322,350 715,398 3,587,748
平成23年度 2,000,000 322,350 333,186 2,655,536
平成24年度 2,050,000 322,350 294,082 2,666,432
平成25年度 1,900,000 322,350 88,527 2,310,877
平成26年度 1,908,759 331,560 167,950 2,408,269
平成27年度 1,971,000 331,560 130,777 2,433,337
平成28年度 1,852,200 0 95,353 1,947,553
平成29年度 2,041,200 0 0 2,041,200
平成30年度 2,060,100 0 0 2,060,100
令和元年度 2,050,179 0 0 2,050,179
令和2年度 2,244,000 0 0 2,244,000
令和3年度 2,255,000 0 0 2,255,000
令和4年度 2,288,000 0 0 2,288,000
令和5年度 2,332,000 0 0 2,332,000

(注意)平成29年度より、回収した廃食用油全量を民間のBDF製造業者に売却することとなったため、事業費は収集運搬委託費のみとなっている

4.事業概要

(1) 廃食用油の回収

  • 市内9店舗のスーパーマーケットに協力を依頼し、店頭に回収ボックスを設置して、市民のみなさんに廃食用油を出してもらいます。
  • 廃食用油の回収は、委託業者によって行います。収集頻度は約4回/週。

(2) BDFの製造

  • 回収された廃食用油は民間のBDF製造業者に売却し、民間事業者により利活用されます。

BDF製造の概念図

BDF製造の概念図

製造工程の説明

    1. 廃食用油の静置 → 不純物を沈殿させ、上澄みを使用。
    2. ろ過 → フィルター等を用いて、動物性油脂等の不純物を取り除く。
    3. BDF製造装置へ原料投入。装置の運転開始。
      水分除去 → 触媒と反応 → 一次分離 → 化学処理 → 二次分離 → ろ過 → 製品
    4. BDF成果品の品質検査(透視度・比重・pHなど)
    5. 基準値に達しないものは、再度静置・ろ過等により動物性油脂等を除き、再検査する。

(3) BDFの利用

  • 平成28年度までは市の製造施設でBDF燃料を製造し、公用車(ごみ収集車1台)の燃料として使用していましたが、公用車のエンジンがBDF燃料の使用に適さなくなったため、年度内で製造と使用を取り止めました。
  • 平成29年度以降は、回収した廃食用油を全量、民間のBDF製造業者に売却し、同事業者によりBDF燃料は製造されます。
  • 民間のBDF製造装置により精製されたBDF燃料は現在、民間工場の発電機の燃料として利活用されています。

5.廃食用油の出し方

6.実績

(単位:リットル)

原料として使用した廃食用油の量とBDF製造量の内訳
年度 廃食用油回収量 原料として使用した
廃食用油の量
BDF製造量
平成18年度 8,535 5,440 3,524
平成19年度 23,003 18,362 10,892
平成20年度 25,272 21,186 14,949
平成21年度 30,949 21,630 15,018
平成22年度 31,671 15,758 11,160
平成23年度 30,399 5,618 3,693
平成24年度 32,491 5,175 3,162
平成25年度 32,043 2,185 1,383
平成26年度 33,808 2,070 1,359
平成27年度 34,864 2,128 1,393
平成28年度 35,464 1,380 844
平成29年度 37,400 - -
平成30年度 37,840 - -
令和元年度 38,989 - -
令和2年度 39,673 - -
令和3年度 38,924 - -
令和4年度 34,425 - -
令和5年度 33,777 - -
  • (注意1)平成18年度は、9月から19年3月までの7ヶ月間。
  • (注意2)原料として使用しきれない廃食用油は、BDF製造事業所に売却していた。
  • (注意3)BDF製造過程で生じる副産物(グリセリン)や原料として不適なものは、石油卸会社に売却していた。
  • (注意4)平成29年度以降、回収した廃食用油全量を、民間のBDF製造業者に売却している。

7.BDF事業の特徴

  1. 本来廃棄する廃食用油を原料とした、リサイクルエネルギーです。
    • 廃油のリサイクルにより、ごみの減量につながります。
    • サトウキビなどを原料とするバイオエタノールなどと異なり、食糧問題に影響を与えません。
  2. 家庭から出た廃食用油のみを原料として利用しています。
  3. 全国でも珍しい、スーパーマーケットを回収拠点とした官民協力型事業です。
    • 人々の身近な場所に回収ボックスを設置することで、環境に興味のない人にも市の取り組みを知ってもらう効果を期待しています。
  4. BDFの製造過程で排出されるグリセリンなども、リサイクルされています。
    • 副産物のグリセリンなどの廃油は、八戸市内の臨海部の工場で化石燃料の代替燃料として再利用されています。
  5. 冬季間もBDFの製造および使用が行われています。

この記事に関するお問い合わせ先

市民環境部 環境政策課 資源リサイクルグループ

〒031-8686 青森県八戸市内丸一丁目1番1号 市庁別館6階
電話:0178-43-9362 ファックス:0178-47-0722

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