八戸港の歴史

更新日:2020年01月27日

八戸港の近代化

岩がごろごろしている、明治30年代の鮫浦の白黒写真

八戸港の始まりは、寛文4年(1664年)、八戸藩が誕生した頃で、「鮫浦」と呼ばれ、主に漁港としての機能を持ち、また、三陸沿岸の避難港としても重要な役割を果たしてきました。寛文10年(1670年)に河村瑞賢によって東廻り航路が開設されたことにより、江戸等へ物資の輸送に利用されるようになり、八戸からは大豆や〆粕(しめかす)等が積み出されていました。

明治維新以降、海運が発展してくると八戸でも築港運動がおこりました。明治15年には、政府からお雇い外国人ローエン・ホルスト・ムルデルが派遣され沿岸部の測量を行っています。その後、大正8年から漁港として鮫浦港修築工事に着手し、近代的な港の工事が始まりました。

昭和4年に八戸市が誕生し、翌年に鮫と湊川口を統合して「八戸港」と改称されます。その後、昭和10年に中国大陸の大連との航路開設によって外国貿易が行われるようになり、昭和14年に開港指定を受けています。

東北有数の臨海工業地帯へ

戦時中に建造された1万トン級の石油タンカー3隻による沈船防波堤の写真

終戦後の昭和22年、食糧増産対策として、岩手県松尾鉱山から産出する化学肥料の原料となる硫黄鉱の積出し港に指定されたことから、早急な波浪対策が必要となり、戦時中に建造された1万トン級の石油タンカー3隻による沈船防波堤が作られたことが、復興への契機となりました。

工場が立ち並び始めた、昭和40年代の八戸港の写真

昭和26年に重要港湾指定、昭和39年に八戸地区が新産業都市に指定されると、臨海部に製紙業、非鉄金属業等の基礎素材型企業が相次いで立地し、工業港としての本格的な整備が進められることになります。

八戸大橋の最後の接続工事を見上げる人々の写真

一方、八戸港は一級河川 馬淵川、二級河川 新井田川により分断されており、域内の物流の円滑化、効率化が強く望まれるようになり、昭和55年に八戸大橋、八太郎大橋が全面供用され、さらに昭和60年の蓮沼陸橋、八太郎トンネルの完成により、幹線臨港交通網を確立しています。

物流面においては、昭和48年に苫小牧と、昭和54年に室蘭との間にカーフェリーが就航(平成18年に休止)しました。昭和56年に八太郎3号ふ頭に八戸港フェリーターミナルが完成しており、現在、苫小牧との間に1日4便が運航され本州と北海道を結ぶ拠点となっています。

八戸港の国際物流拠点化と東日本大震災からの復旧・復興

平成6年に東北地方で最初の国際定期コンテナ航路となる東南アジア航路の開設によって、国際物流の主流となっていたコンテナ輸送に対応することになりました。これを契機に北東北の国際物流拠点港として歩み始めることとなり、平成7年には県・市・商工会議所・港湾振興団体・金融機関・港湾運送事業者が連携して「八戸港国際物流拠点化推進協議会」を設立し、八戸港の国際物流拠点化によって地域経済の振興を目指して、継続的に海外へ交流団を派遣する等のポートセールス活動を展開しています。

また、平成10年に韓国航路(現:中国・韓国航路)、北米航路が開設され、さらには国内の主要港を結ぶ内航フィーダー航路が、平成11年に横浜港、平成18年に東京港、平成20年に名古屋港と順次開設されております。

八太郎北防波堤の甚大な被害の写真

平成23年3月11日の東日本大震災では、八太郎北防波堤を中心に甚大な被害を受け、港内静穏度を確保できなくなるなど物流機能に大きな支障をきたしましたが、平成25年に東北で最も早く復旧事業が完了しました。コンテナ貨物の取扱量も順調に回復・増加しており、平成28年は震災以降4年連続で過去最高となる約5万9千TEUを記録しました。

企業の立地も進んできており、平成27年には北東北のエネルギー供給拠点となるLNGターミナルが操業、平成28年には世界トップクラスの技術を誇る造船工場が増設、平成29年には今後の需要拡大が見込まれる食用米や飼料用米を中心に取り扱う大型備蓄倉庫が稼働、また国内最大規模となるバイオマス発電所の建設が始まるなど、今後、八戸港のさらなる利用が期待されます。

今後の八戸港

港湾施設整備が進む、八戸港の航空写真

八戸港は、長期的な戦略として北東北経済の持続的な発展へ貢献する「世界に開かれた北東北のゲートウェイ港湾」を目指しています。

多様化する荷主や市民のニーズに対応した使いやすい港湾づくりが求められており、物流分野では、増大が見込まれるコンテナやばら貨物輸送へ対応していく他、観光や交流分野においても、市民が気軽に憩える水際空間の確保、さらには、クルーズ客船の受け入れ等の役割を担うための港湾施設整備が進められます。

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