プラスチック分別回収実証事業を実施しました!
市では、プラスチック資源循環等の促進を図るための「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が令和4年4月1日に施行となったことを受け、将来のプラスチックのリサイクル手法について検討しています。
昨年度、主に小中野地区と江陽地区の住民の皆様に御協力いただき、公民館を拠点としてプラスチックごみの回収を行い、東京鉄鋼株式会社八戸工場で粉体カーボン(炭)にリサイクルし、鉄を製造するための還元剤として利用する実証事業を行いました。
プラスチックの回収に御協力いただいた市民の皆様、ありがとうございました!
この度、事業の結果がまとまりましたので、御報告申し上げます。
実証事業の様子
拠点による回収
回収は、小中野公民館と江陽公民館の玄関に、プラスチック回収用のボックスを設置させていただき、市民の皆様には、公民館の玄関が開いている時間に持ち込んでいただくことで行いました。
当初は、1週間に数回、集積状況を見ながら回収に伺う予定でしたが、予想を上回るペースでプラスチックが集まり、約500ℓの回収ボックスは1日で満杯となったため、毎日2か所の公民館にお邪魔し、回収しなければなりませんでした。量が多い日には、朝と夕方の2回、回収に伺うこともありました。
その結果、2カ所の公民館合わせて、500ℓのポリ袋で100袋以上、重さで1,450キログラムのプラスチックごみが回収されました。
公民館での回収の様子
回収されたプラスチックごみ
回収されたプラスチックは、プラスチック以外の素材の物や、リチウムイオン電池など発火の危険性のある物が混じっていないかどうか全て点検しました。
点検の結果、一部、紙類や小型の電気製品などの混入は見られましたが、危険物の混入はなく、食品のトレーや菓子袋などは綺麗に洗っていただいており、ほとんど臭いもなく、たいへん良好な分別状況で、市民の皆様の分別に対する意識の高さが伺えました。
トレーやプラ製の袋など
異物として除去されたもの
リサイクルの様子(炭化)
回収したプラスチックは東京鉄鋼株式会社八戸工場へ搬送し、シュレッダー施設で破砕した後、廃プラスチック炭化炉施設へ送られます。炭化炉施設では、約4時間かけて回転しながら蒸し焼きにすることで、プラスチックを熱分解し、粉体カーボン(炭)が作り出されます。
作成された粉体カーボンはブリケット状に固められ、同工場内の電気炉で鉄を製造するための還元剤として使用されます。
シュレッダー設備へ投入
砕かれたプラスチック
炭化炉施設
カーボン(炭)ブリケット
実証事業の結果
東京鉄鋼株式会社八戸工場では、自動車由来の廃プラスチックや産業廃棄物として回収された廃プラスチックの処理を従来から行っていることから、今回の実証実験でも工程上、特に問題なく処理できることが確認されました。
完成したカーボン(炭)の品質については、従来品と成分を比較分析したところ、品質に特に違いはなく、電気炉における還元剤として使用できることが確認されました。
また、本実証事業では、環境省の支援を受けながら、現在のプラスチックの処理方法(可燃ごみとして収集→焼却)と新たな処理方法(拠点による回収→カーボンへリサイクル)の比較検証を行いました。その結果、新たな処理方法では、費用が6.3%増加するものの、二酸化炭素排出量を1.9%削減する効果があることが確認されております。
今後について
今回の実証事業によって得られた結果により、プラスチック回収量の見込みや、リサイクルが可能なことを確認できましたが、いくつか課題も浮かび上がってきました。
- プラスチックは容積が大きく回収場所に十分なスペースが必要
- 回収ボックスはすぐ一杯になるため頻繁に回収する必要があること
- 危険物などの除去作業場所や人員の確保が必要となること 等
このような課題はあるものの、プラスチックのリサイクルについては、市民の皆様や社会の要請に応え、循環型社会の形成に資するものであり、また、地域における脱炭素社会の実現に向けた取組でもあります。
今後は、課題解決に向けた検討や関係者との協議を進め、八戸地域ならではのプラスチックリサイクル事業の実現を目指します。
この記事に関するお問い合わせ先
市民環境部 環境政策課 資源リサイクルグループ
〒031-8686 青森県八戸市内丸一丁目1番1号 市庁別館6階
電話:0178-43-9362 ファックス:0178-47-0722
更新日:2023年05月22日