第3章 施策の基本方向

更新日:2020年01月07日

第3章 施策の基本方向

3.1 あらゆる分野において男女が共同して参画できる機会の確保

 男女共同参画社会を目指す八戸市においては、政策・方針決定過程への参画 が極めて重要です。そしていろいろな市民の意見を反映させるため、さまざ まな人たちが参画していることが必要です。市民の多様な意見が取り入れられなければ、これからの市民の要求が満たされていくことは到底不可能です。
 この考え方は、企業や地域・学校・市民団体においても変わりません。構成員の多様な意思を公正に反映できることが民主主義の成熟を促すとともに、男女共同参画が求める機会の確保がこれからの男女共同参画社会の必要条件といえます。
 こうした男女共同参画社会では、市民一人一人のレベルでの理解と協力が何よりも大切です。本市条例の理念を十分理解し、あらゆる分野において男女の扱いに偏りのない社会とするように心がけることが必要です。

課題

  1. 政策・方針決定過程における参画の多様化の促進
  2. 男女平等のための意識啓発の推進
  3. さまざまな分野へチャレンジする意欲の促進への支援
  4. 男女平等の視点に立った社会制度・慣行の見直しに関する情報収集・検討
課題の目標値
  • 審議会等の男女構成比率において少ない方の割合が30%を下回らないこと
  • 審議会等の公募による委員比率が少なくとも10%以上になること
  • 指導的立場の女性の比率が少なくとも30%以上になること
  • 八戸市男女共同参画基本条例を制定したことを知っている人の割合が、20歳以上の市民の80%以上になること

3.1.1 政策・方針決定過程における参画の多様化の促進

 これからの施策・方針決定過程に求められるのは多様な意見の反映であり、このことを促進するため、市は、市政に関する審議会や委員会等の委員の選定において十分配慮するほか、委員にふさわしい人材の発掘や育成に努めるとともに、公募制の積極的導入や活用も進めていきます。
 また、こうした取り組みを市民や事業者に対しても、地域活動や事業活動などとも共通することであることを広報・啓発していきます。

市の施策・方針決定過程への男女共同参画の促進

 市では、女性委員の構成割合が低かったことから、女性の占める割合を 30%以上とすることを目標としてきました。現在その割合は、ほぼ、目標に 達しつつありますが、本当に大事なことは女性の割合というよりも、多様な意思を反映する参画のしくみづくりです。このため、委員にふさわしい知識と見識を持った人材の発掘・育成を進めるとともに公募制の積極的導入や活用などを通じて、審議会・委員会の活性化を図り、今後のまちづくりに一層皆さんの意見を反映できるようなしくみを確立していきます。

市民・事業者等における取り組みへの支援と協力

 多様な意思の反映と参画等における多様化の確保は、国や地方公共団体にだけ求められるものではありません。企業等の事業活動や市民活動、地域活動などあらゆる場面で普及しなければならない事柄です。
 このため、市民や事業者を対象に意識の啓発を図るとともに、こうしたことを実践する上での支援策等の周知を図っていきます。

状況の調査及び資料の収集と提供

 政策・方針決定過程における参画等の多様化の促進については、その進捗状況について調査を実施し、その結果を公表していきます。
 また、効果的な事例があった場合には、広く紹介して、その普及に努めます。

3.1.2 男女平等のための意識啓発の推進

 男女共同参画の実現には、人々の意識の中にある固定的役割分担意識が障害になっていると言われています。この意識が人々の行動に影響を与え、職業の選択や生き方、何かにチャレンジする機会などに乗り越えられない制限を加えているのであれば、是正することが求められます。
 男性も女性も家庭生活、社会生活をともに営む対等なパートナーとして認 め合い、主体性を持った生き方ができることが男女共同参画社会です。そのためにも、一人一人の考え方に真の男女平等、個人の尊厳について深く根付 くよう、意識啓発活動を積極的に実施するほか、男女平等実現のために制定された法令や制度のPR、さらに男女共同参画社会に関係する様々な情報を 収集提供していきます。

市民・事業者等を対象とした広報・啓発活動

 男女共同参画に関する認識を深め、男女が平等であること、個人の尊厳を重んじることが男女共同参画の根底です。男女共同参画推進月間での推進事業のほか、様々な機会を通じて意識啓発を進めていきます。
 また、市単独だけでなく国や県その他関係団体等と連携しながら、時節に応じたPR活動を適宜実施します。

関連法令・制度等の周知活動

 過去の男女に関する不平等の扱いを是正・解消するため、法令や制度など が定められ、整備されてきました。これらについて、理解しやすい形で広報 し、その内容の周知に努めていきます。また、これらの法令・制度に抵触するような行為に遭ったときのための相談窓口や救済機関などの情報についても積極的に提供していきます。

男女共同参画に関する情報の収集・提供

 男女共同参画は、広い分野に及びます。特に具体的な施策に男女共同参画 の視点を盛り込む際には、客観的で正確な情報が必要です。種々の統計情報やマスコミ等から得られる資料等を収集し、施策の推進に役立てられるようにします。

3.1.3 さまざまな分野へチャレンジする意欲の促進への支援

 誰でも意欲と能力を発揮できる社会が男女共同参画社会です。人それぞれ、新しい分野や職階などにチャレンジできることが求められます。また家事・育児・介護などで一旦離れた仕事などに再チャレンジする機会も必要です。しかし社会のいろいろなところで、「前例がない」とか「慣例による」などと、合理的な理由もなく制限されていることがあります。多くの人が自分の意欲と能力を発揮することを妨げられない社会のあり方が望まれます。

身近なチャレンジ事例の情報収集・提供

 いろいろな分野で男女が協力して成果を収めている事例について情報を集め、有効・有益なものを紹介します。

チャレンジ支援施策の周知・広報

 国等ではさまざまなチャレンジのための支援事業を実施しています。これらを活用して、チャレンジする機会の促進を図ります。
3.1.4 男女平等の視点に立った社会制度・慣行の見直しに関する情報収集・検討
社会制度や慣行は、それぞれの目的や経緯を持って生まれてきたものではありますが、性別による区別を設けていない場合でも、現実にはどちらかに不都合になっていることが少なくありません。男女共同参画社会の形成のために、求められる社会制度や慣行がどのようなものであるのか調査しながら、検討していく必要があります。

各種施策が及ぼす影響についての調査・検討

 市が実施している施策が性別によって偏りがあり、そのことでどちらかの性に属する人が有利・不利に扱われることがあってはなりません。毎年事業 を調査し、性別にかかわらず、扱いが男女平等の視点で中立であるよう心がけます。

意識・実態調査の実施

 社会のしくみはその構成員全員にかかわる事柄です。そのために現行のしくみはどうなっているのか、そしてそのことをどう考えているのかを把握するために、必要に応じて意識・実態調査を実施し、施策に反映していきます。

広報・啓発活動の充実・強化

 社会にとってよりよい制度や慣行について考え、改善できることは改善するという意識を持つことが大切です。そのための機会を提供するため、広報・啓発活動に力を入れていきます。

3.2 性別による不合理な格差のない職業生活の確保

 就業は生活の経済的基盤であるとともに、働くことによって達成感が得られ、自己実現につながるものです。
 働くことを選択した人が性別にかかわりなくその能力を発揮できる社会づくりは、男女共同参画社会の実現にもつながる重要な意味を持つものです。そして昨今、少子化が深刻な問題として取り上げられていますが、これによって懸念される労働力不足についても、多様な人材の活躍を促し、経済社会にも好影響をもたらすものと期待されます。
 労働の場において、性別によって不合理な格差がなく、次世代を育成することに配慮がなされ、充実した職業生活を営むことができる環境が求められます。
 そこで、性別にとらわれない個人の能力に基づく公平・透明な評価とともに、多様な働き方に応じた適正な処遇と労働条件が確保されることが必要です。雇用等の分野によって男女が均等な機会を得られ、意欲と能力に応じた均等な待遇を受けることができる状況を実現し、安心して働き生活できるような施策を推進します。

 また、八戸市は「ゆとり創造都市」を宣言しており、充実した自由な時間 のもとで、ゆとりと潤いのある生活ができる都市を目指しています。豊かで人間性あふれる八戸市の建設のため、労働時間の適正化と生活環境の整備に努めていくことが今後とも必要です。

課題

  1. 労働の場における男女の均等な機会と待遇の確保の推進
  2. 多様な職業ニーズを踏まえた就業環境の整備
  3. 仕事と育児・介護の両立のための雇用環境の整備
課題の目標値
  • 市内でポジティブ・アクションを実施している企業の割合が10%以上になること
  • 市内の事業所の管理職についている男女の構成比率において少ない方の割合が15%を下回らないこと
  • 市内の事業所で「次世代育成支援行動計画」を策定している割合が10%以上になること

3.2.1 労働の場における男女の均等な機会と待遇の確保

 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(以下「男女雇用機会均等法」)によって、募集・採用、配置・昇進を含む雇用管理のすべての段階で性別に基づく差別が禁止されたことを踏まえて、この法律の趣旨にのっとった男女の職場における機会均等・待遇平等が確保される就業環境の整備について、事業者への協力を要請します。
 また、働く個々人の能力が十分に発揮できるような職場環境のために、事業者の配慮を求めるほか、働く人たちの意識啓発も推進します。

男女の機会均等・待遇平等の推進

 男女雇用機会均等法に基づき、性別による不合理な格差を生じさせないよう、事業者等へのPRを実施し、さらに積極的に格差の是正措置も行えることを周知します。
 また、この法律に反して、待遇等で不合理な格差に遭った場合の相談窓口や救済機関の周知に努めます。

能力発揮のための支援

 職業能力開発・向上のためのセミナーや研修などの情報を積極的に広報し、またこれらについての相談窓口等の周知に努めるほか、公共の職業訓練や自発的な能力開発についての情報の周知にも努めます。
 育児や介護等で退職した人で、再度働く意欲のある人についての再就職を支援するため、相談窓口や能力開発セミナーなどの情報を提供する制度を紹 介します。
 また、職場におけるセクシュアル・ハラスメントを防止するため、事業主に対する男女雇用機会均等法の周知や相談窓口の情報提供を進めるとともに 被害に遭った人の相談窓口や救済機関の情報提供を行います。

3.2.2 多様な職業ニーズを踏まえた就業環境の整備

 人々が、その価値観やライフスタイル、家族の状況等に応じて、多様でかつ柔軟な働き方を選択することができることは、男女にかかわらず、個人の能力発揮の促進と次世代育成支援の観点から重要な課題です。
 特に育児期に当たる場合には、本人に働く意思があるのならば、職業生活 を完全に中断することなく、家族的責任との両立を図りながら働き続けることのできる短時間正社員や自分で勤務時間帯を選択できるフレックスタイム制などの就業形態を普及させていくことが求められます。
 また、パートタイムやアルバイトなどの有期労働や家内労働については、待遇や社会保障制度の面で正社員より劣っている場合が多いので、雇用の安定を図る必要があります。
 農林水産業や商工業などの自営業についても、地域振興や生活向上につながる経営能力の育成や経営への男女共同参画を促進するよう努めます。
 さらに、チャレンジ支援として注目される起業支援にも充実を図るよう努めます。

多様な就労形態に関する情報の収集・提供

 多様な意識を持つ個々の働く人が十分に意欲と能力を発揮できるようにす るとともに、次代を支える人を育成することが大切であるという観点から、 厚生労働省では、所定外労働の抑制、休暇の取得促進、労働時間規制にとらわれない働き方の実現、在宅勤務の推進などを推進することとしました(平 成17年『厚生労働白書』)。このような政府の考えやこれに基づく実施企業の状況などの情報を収集し、事業主等へ積極的に周知を図ります。

パートタイム労働・家内労働等の労働条件の向上

 パートタイム労働には「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」 が、家内労働には「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」が定め られていますが、このような法令に関する情報をPRし、実際に働いたり雇ったりする際の注意を喚起するとともに、働いた結果が意に反している場合の相談窓口や救済機関の情報を周知に努めます。

農林水産業・商工自営業における労働条件の整備

 農林水産業・商工自営業においては、公私の境があいまいであることが指摘され、しかも経済基盤が強くないためしわ寄せが家庭に及ぶことが少なく ありません。
 男女とも自ら経営者であるとの自覚の上で、経営への共同参画とそれに基づく経営力の向上を目指し、能力開発と意識啓発につながるようなセミナー 等の情報を提供します。

起業支援等雇用以外の労働への支援

 様々な分野で起業家が活躍することは、地域社会や経済の活性化につなが ります。しかしアイディアと意欲があっても事業経営の知識が不十分な場合も多いことから、起業支援策の充実を図ります。

3.2.3 仕事と育児・介護の両立のための雇用環境の整備

 少子高齢化、グローバル化、情報化、核家族化が進展している中で、男女が仕事と育児・介護等の家庭生活とのバランスを図りたいとの要求が高まっています。このような中で、これまでの仕事中心の働き方を見直すこと、育児・介護休業を取得しやすく、また職場復帰しやすい環境の整備を進めること、育児や介護をしている労働者が働きやすい環境を整えることが必要です。

子育て等を支援するための休暇・休業制度の導入促進

 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児・介護休業法」)の積極的な周知に努め、企業の制度としての定着を促進します。
 また子育て中の勤務時間の短縮や時間外労働の免除などの制度について情報を提供し、企業への導入を促進します。

母性健康管理対策の促進

 職場において女性がその母性を尊重され、働きながら安心して子供を産めるよう、妊娠・出産を理由として雇用管理面で不利益な取り扱いを受けないよう、事業者に働きかけていきます。

次世代育成支援対策の促進

 「次世代育成支援対策法」が施行され、従業員が300人を超える事業主は、 この法律に沿った行動計画を策定しなければならなくなりました。また、従業員300人以下の事業主も策定するよう努めなければなりません。このことのPRを積極的に行い、さらなる育児支援策を企業がとるよう啓発を図ります。

3.3 家庭生活・地域社会で男女が協力し合う環境整備

 男女がともに社会のあらゆる活動に参画していくには、仕事、家庭生活、地域活動のバランスをとることが重要です。男女が安心して家庭生活を送る ために、家事や育児、介護など家庭の一員としての責任を果たしていく社会 が大切です。
 同様に地域社会においても、男女が一緒に参画していく環境を整えることが、地域社会に貢献し、豊かなものにしていくと期待できます。
 働き方や家庭での家事分担などを見直し、職場・家庭・地域のバランスがとれたライフスタイルにすることが求められます。
そのためには、家庭内での男女協力の促進を図ることはもとより、住環境や交通機関等の整備を進めること、地域活動の担い手となる市民団体等の活 動を促進すること、高齢者等が安心して暮らせるための制度の整備などが必要になります。

課題

  1. 家庭における男女間の協力促進
  2. 子育て支援策の充実
  3. 高齢者・障害者・外国人が安心して暮らせる環境整備
  4. 地域活動及びボランティア活動の推進
課題の目標値
  • 育児休業取得率が男性10%以上、女性80%以上となること
  • 子どもの看護休暇制度、介護休暇制度の普及率が25%以上となること
  • 育児のための短縮勤務等の制度の普及率が25%以上となること
  • 町内会への加入率が70%以上となること

3.3.1 家庭における男女間の協力促進

 これまで「男は仕事、女は家庭」というくくりでの男女間の協力が当然だったようです。しかし現代は、男女の別なくライフスタイルは多様化しており、それに応じて家庭のあり方や生活様式も様々に変わっています。こうした中で、男女の一方に旧来の固定的な役割を強いるのは、それぞれの能力を十分に発揮できず、多様な選択を否定していることになりかねません。
 家族みんながそれぞれ分担しながら支え合う家庭のあり方を求められます。

家庭での男女協力のあり方についての情報収集・提供、啓発

 本来家庭は、それぞれの家族がそのあり方を模索ながら生活しています。 しかし、その生き方しかないのか、もっと自分たちにあったライフスタイルはどうかるべきかについては自分たちで考えるだけでは、気づかないことが多いものです。こうしたことから、家庭生活に関するさまざまな調査や資料などからいろいろな家庭での暮らし方を紹介し、提供していきます。
 また、講演会などを開催し、自分たちの生き方を考える機会を提供します。

男女間での家事協力を促進する広報・啓発

 家庭における家事分担は、女性に集中する傾向が依然として強いようです。 職に就いている女性にもそのことはあてはまり、女性の側には仕事に加え、家事の負担が集中していることが多いようです。今日の家庭では、家族の基本である「支え合う」ことが求められています。そうしたことから、八戸市男女共同参画基本条例や宣言都市宣言文などの周知を図り、家庭での男女共同参画を進めるよう努めます。

3.3.2 子育て支援策の充実

 子育ては、「子育ての社会化」と言われるように、社会全体での取り組みと して支援すべきとして、仕事と子育ての両立に伴う負担感などを緩和し、安心して子育てができるような環境整備を進めることが求められています。
 市民の多様なニーズに対応した保育サービスの整備、子育てへの支援体制の充実など、子育てしやすい環境の整備にも努めます。

保育サービス・放課後児童対策の一層の充実

 子育て家庭が必要なときに利用できる保育サービスの充実に努めます。ま た、子育て家庭へのきめ細かな支援サービス・保育サービスの提供に努めるとともに、地域における子育て支援サービス等のネットワークの形成促進を図ります。さらに放課後や長期休暇の時に安心して遊べる「子供の居場所づくり」や地域で子供を育成する環境の整備にも努めます。

良質な住環境の確保

 多子世帯が優先して市営住宅に入居できる制度を進めるほか、八戸市緑の基本計画に沿った都市公園整備を進めます。また、心に潤いをもたらし、空気の浄化が期待できる緑化運動を促進します。

安全な道路・交通環境の整備

 子供や妊婦、子連れの人、障害者や高齢者らが安心・安全に通行できる道路環境の整備に努めるほか、公共施設・交通機関等のバリアフリーに努めます。

安全・安心なまちづくりの推進

 子供たちが犯罪に遭わないよう、安全に暮らせる地域社会の形成のため、街路灯・防犯灯の整備を進めるほか、都市公園の公園灯の整備を進めます。

ひとり親世帯への支援

 父母どちらかが欠けている家庭では、経済的な安定に不安があったり、子育て等に困難な状況をともなう場合があるので、適切な制度に基づいた支援を進めます。

3.3.3 高齢者・障害者・外国人が安心して暮らせる条件の整備

 高齢社会を豊かで活力ある社会としていくためには、高齢期の男女を単に支えられる側の立場にある者と位置付けるのではなく、他の世代とともに自立し、誇りを持って社会を支える重要な一員となっていただくことが必要です。
 高齢期の男女や障害のある男女の社会参画の機会の拡大や高齢者を社会全体で支えていくための介護保険制度の適正な運用を進めるとともに、高齢者の経済的自立や安全・安心を確保し、年齢や障害の有無にかかわらず、男女がいきいきと暮らせる社会を目指す必要があります。
 当市に暮らす外国人も増え、国際化が進展する中、経済・教育・文化・芸術・スポーツ等を通じて交流が盛んになっています。多元的な価値観や文化を持つ人々との相互理解を深めるために、国際交流を推進することが必要です。

高齢者・障害者の自立を支援する環境の整備

高齢者が長年培った技能や経験をいかし、意欲と能力に応じて働きつづけられるように努めます。また、障害のある人とない人がともに生活し、活動できるノーマライゼーションの理念に基づいた施策を推進します。
 高齢者や障害者のニーズに対応した社会基盤の整備に努めます。

高齢者等への介護体制の整備

 介護の負担を家族に集中することのないように、介護保険制度の着実な実施を進めます。また、介護サービスの質・量両面にわたる整備を一層進める とともに、寝たきりにならないよう、自立した生活を送ることのできる支援を実施します。

国際交流の推進

 市民はもちろん、在住外国人にとっても快適で安心して住める魅力のある まちづくりが求められています。国際理解を進めるための市民レベルでの交流を進めるほか、相互理解のための交流の場を提供します。

3.3.4 地域活動及びボランティア活動の推進

 男女がともに職業生活と家庭生活の両立を図りつつ、地域社会にも参加することができるようにするため、地域社会への男女の積極的な参画の促進を図ることが必要です。また、ボランティア、NPOなどによる活動を通じて、各種の地域活動に積極的に参画できるように努めます。

市民活動への支援

 市民活動が積極的に進められるように、情報交換の場や活動拠点を提供します。また、団体間の情報交換の場を提供することによって、団体間のネッ トワークの構築を促進します。

ボランティア活動を促進する気運の醸成

 ボランティア活動を推進するための支援を進めます。

地域活動への参加を促進するための広報・啓発活動の推進

 個人の知識や技能をいかせる活動に参加できるよう、団体に関する情報等を積極的に周知を図ります。

3.4 個人として重んぜられるべき人格の尊重

 男女共同参画は、市民一人ひとりの個性と人格が尊重されることから始まります。
 しかし、男女間での暴力行為や雇用の場でのセクシュアル・ハラスメント など、個人の尊厳を傷つける行為が横行し、人権侵害が問題になっていることから、早急に暴力等を予防し、容認しない社会の実現が必要です。
 また、男女間の身体的特徴を考慮しながら生涯を通じた健康を享受するために、性差医療をはじめ、病気の予防、スポーツなどの健康づくりが大切 です。
 そして男女共同参画社会の実現のためには、男女平等を正しく理解し、お互いを尊重し合い、お互い助け合いながら、個人の個性と能力を発揮できる状況であることことが必要です。
 そのためには、男女平等意識を涵養するための学習の場としては、学校教育や社会教育をはじめとする教育行政だけでなく、一般行政や民間との連携 によって進めることも重要です。これらを踏まえ、地域社会が取り組む総合的な事業としての生涯学習として、人権尊重を基盤とした男女平等意識の形成促進を図ることが重要です。

課題

  1. 男女間での暴力的行為を根絶するための基盤づくり
  2. 男女がともに生涯を通じて営む健康づくりの促進
  3. 男女平等で多様な選択を可能にする教育・学習への支援
課題の目標値
  • 生涯学習の場において性別で大きな偏りのない参加率を目指すこと
  • 基本健康診査の受診率が対象者の50%以上となること

3.4.1 男女間での暴力的行為を根絶するための基盤づくり

 暴力行為は、刑法犯罪となる重大な人権侵害であり、決して許されないものであることを社会全体が認識することが必要です。しかし、従来配偶者間 (内縁関係等を含む)等での暴力行為は、家族間あるいは家庭内の問題として矮小化されることがあり、男女間の暴力について社会の理解も不十分だった ようです。
 暴力的行為は、身体的強さや経済力の格差などを背景として、相手を従属的に扱うための強制力として振るわれることが多く、被害者に恐怖と不安、 自信の喪失など招くことによって、自立した個人としてふるまうことができなくなります。
 こうした暴力的行為を決して容認せず、社会全体がこれらを根絶するための基盤整備を行うとともに、暴力的行為に応じた幅広い対応が求められます。

暴力等を予防し、容認しない地域づくりのための広報・啓発活動の推進

 男女間の暴力をなくすため、児童から高齢者まで幅広く、暴力は犯罪行為であるとの認識を深める啓発活動を推進します。加害者には厳罰が下されること及び社会的に容認されるものではないこと、現在は、配偶者暴力防止法が制定されており、いろいろな行政機関がその防止と被害者救済を図ること周知します。
 また、性的いやがらせも相手に対する人権侵害の一種です。地位や立場を利用しての性的関係を強要することや相手のいやがる言動は、人格を傷つけるばかりではなく、意欲を減退させ、組織としての損失を生じさせます。性的いやがらせの防止についても、積極的にPRしていきます。

配偶者間等の暴力被害者に対する保護・自立支援

 不幸にも暴力被害者になってしまった人のために、相談窓口や救済機関などについての周知を図ります。特に、暴力行為による人権侵害として、適切 な関係する行政機関等との連携を図りながら、被害者の救済に当たるよう努めます。

3.4.2 男女がともに生涯を通じて営む健康づくりの促進

 男女が共にお互いの身体的特徴を十分に理解しあい、人権を尊重しつつ相手に対する思いやりをもって生きていくことは、男女共同参画社会の前提です。そのためには、心身及びその健康について正確な知識・情報を知り、自らが健康づくりを進めることが必要です。特に女性は妊娠・出産の可能性を前提とした、ライフサイクルを通じて男性とは異なる健康上の問題もあることから、それに応じた体制も必要となります。
 また、健康は単なる病気の治療だけでなく、平素の食生活・運動・病気予防などさまざまな側面を有しています。こうしたことから、人生の各ステー ジに応じた適切な健康の保持増進が必要です。

性差医療についての知識普及

 生涯を通じた健康の保持のためには、人生の各ステージにおいて男女それぞれに特有な疾病もあることから、自己検診や定期的受診などに関する情報を提供するとともに、的確な医療を受けるための知識の普及を図ります。

病気の予防・早期発見につながる健康づくりの推進

 自己の健康を適切に管理・改善を学習する機会を積極的に提供します。また、身体的問題だけでなく心の悩みも安心して相談できる体制を整備します。
 また、日常的なスポーツ活動を推進するとともに、スポーツ指導者の養成 ・活用を図ります。

健康をおびやかす諸問題についての対策の推進

 エイズ・性感染症は、健康に甚大な影響をもたらすため、特にその予防についてPRに力をいれます。また、薬物の乱用は本人の身体及び精神の健康 をむしばみ、家庭の崩壊や犯罪の原因となる社会を揺るがしかねない行為であることから、その防止についての広報を積極的に推進します。
 未成年者の飲酒予防や公共の場における受動喫煙防止などのPRにも努めます。

3.4.3 男女が平等で多様な選択を可能にする教育・学習への支援

 男女共同参画社会を実現するためには、市民一人ひとりが男女共同参画に ついての正しい意識や自立の意識を有することが不可欠です。このような意 識を涵養し、男女がともに個性と能力を発揮するためには、学校、地域、職場における教育・学習の果たす役割は大変重要です。
 人権尊重を基盤にした男女平等観の形成を促進するため、学校、地域、職場などの相互の連携を図りながら、各人の個性と能力の発揮が大切であることを学ぶことが必要です。
 また社会のあらゆる分野に男女が共同参画するためには、生涯学習の場を通じて学ぶことも必要であることから、多様な学習機会が確保され、その成果を十分に発揮できるような生涯学習を促進します。

多様な選択を可能にする学校教育並びに進路指導の推進

 これからの社会を担う人間を育成する学校教育は、男女共同参画社会を築く上で、特に大切なことです。
 小・中学校教育では、学習指導要領に基づき、発達段階に応じて、個人の尊厳と男女の平等、男女の相互理解と協力の重要性、各人の個性と能力の発 揮に関する教育を進めるとともに、男女が共に、生き方、能力、適正を考え、自らの意思で主体的に進路を選択する能力を身に付けるように進路指導に努めます。
 高校・大学等においては、男女共同参画の正確な理解の浸透を図り、男女共同参画社会の形成に参画する自覚を促すよう努めます。

教職員に対する啓発活動の推進

 学校長をはじめとする教職員が、男女共同参画の理念を理解し、児童・生徒への指導において男女共同参画意識を高めることができるよう、研修や啓発を進めます。

生涯学習の推進

 社会教育において、男女共同参画の意識を高められる学習の機会を提供します。
 また、公民館講座や大学・高校等の公開講座等を利用して、男女共同参画の意識の涵養に努めます。
 さらに放送大学や独立行政法人女性教育会館等を利用して男女共同参画に関してより高度な学習の機会があることをPRします。

この記事に関するお問い合わせ先

総合政策部 市民連携推進課 男女共同参画推進室

〒031-8686 青森県八戸市内丸一丁目1番1号 市庁本館4階
電話:0178-43-9217 ファックス:0178-47-1485

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