本田八戸市政策参与からの緊急提言の内容

更新日:2020年01月07日

平成18年2月23日

八戸市長 小林 眞殿

八戸市政策参与・政策研究大学院大学助教授
本田 雅俊

『緊急助言―すぐに取り組むべき施策』

 新しい市政がはじまって3ヵ月が経ち、第4次八戸市行財政改革大綱案の策定をはじめ、市長の指導力と市職員の多大な努力によって着実に動き出しつつある施策もある。また、具体的な形としては現れていないものの、関係部局で鋭意検討されている施策も少なくない。先の市長選挙で市長が掲げたマニフェストは、いわば市民との「契約」であり、市長がその実行・実現に政治的義務を負う以上、市長がみずから先頭に立ち、市職員が一丸となって補佐しなければならないことは当然である。

 しかし、マニフェストに掲げられた諸項目を実際にどのように市の諸施策に反映させるのかについては、市職員の中に若干の戸惑いがあるようにも見受けられる。のみならず、マニフェストの具体策を可視的に理解することは難しいとの声が、市民からも少なからず聞かれる。去る1月1日付で市政策参与が置かれたのも、まさにマニフェストを市の重点施策に着実かつ確実に反映する手助けをするためだと思われる。

 そこで、市長が掲げたマニフェストの諸項目の中で、あるいはそれらに関連する事項で、新年度早々に実行すべきではないかと考えられる10項目を取り急ぎご助言申し上げる。従来の施策・手法・組織と異なる場合は往々にして慎重論が唱えられやすいものであるが、市政の確実な前進のため、さらには市民への責任として、本助言を最大限に尊重していただき、できれば年度内に所要の態勢を整えた上で、新年度早々に着手・実行されることを強く望むものである。

  1. 市長を長とした観光戦略本部(仮称)の設置
     八戸市への来訪者を増加させるには、何よりも観光客の数を増やす必要がある。このため、新幹線開業以来推進してきたこれまでの観光施策の検証を進めながら、既存の観光資源をどのように活用していくのか、どのような整備が必要なのか、さらに三陸の観光資源をどのように他地域と共同開発していくのか、といった総合戦略・スケジュールを検討するため、庁内の関係部局で組織する「観光戦略本部」(仮称)を設置し、早急に結論を得ることとする。なお、同本部の長には、市長自身が就くことが望ましいと考える。
     
  2. 商標登録支援体制の充実強化
     来る4月より改正商標登録法が施行になるのに伴い、全国各地域がいっせいに特産物等の登録を目指すことが予想される。八戸市がこの動きに乗り遅れないようにするため、さらに本市の特産物を広く宣伝するためにも、登録方法の指導・手引き、支援を行う体制を早急に整え、必要に応じ、助成金も活用することとする。とりわけ、新年度までのできるだけ早い時期までに、商標登録方法に関する独自のマニュアルを作成することとする。
     
  3. 中小企業経営者懇談会の開催
     景気回復の兆しが見えはじめてきたとはいえ、地域経済はまだまだ厳しいのが現状であり、市として支援できる余地は多分に残されている。そこで、市内の中小企業経営者が市に対してどのような要望があるのかを的確に把握するため、商工会議所等の協力も得ながら、新年度早々に懇談会を開催し、忌憚のない意見・要望を聴取することとする。
     
  4. 危機管理体制の整備
     地震や津波などの大災害発生に際し、その被害を最小限に食い止めることは、行政の最重要任務である。しかし、現在の市の危機管理体制は、不十分であるといわざるを得ず、市民に不安をもたらしかねない。そこで、マニフェストにもあるように、新年度早々に部長級職員を危機管理担当として配置し、防災・危機管理のみならず、防犯、交通安全等を含めた組織を整備し、避難路・避難施設の確保、防災訓練の実施、他自治体との防災協定の締結、職務代行者の明確化を順次図ることとする。なお、いずれ地方自治法が改正された際には、助役(または副市長)を危機管理担当とすることが望ましいと考える。
     
  5. 市政モニターの委嘱
     市民が電話や手紙、電子メール等により、市に対して要望を寄せられるのは当然である。また、現市長は市長への電子メールに目を通されているという。しかし、全体的かつ統計的に市民が市政にどのような不安や不満、要望を抱いているのかを的確に把握することは難しい。マニフェストに市政モニタリング調査の実施が謳われているのも、このためであり、新年度早急にモニターを委嘱し、半年に1回程度、調査を実施することとする。
     
  6. 南部地域首長懇談会(仮称)の設置
     青森県南及び岩手県北の旧南部藩領における共同の課題や中長期的なビジョンに関する意見交換を定期的に行う場として、南部地域首長懇談会(仮称)の設置を周辺自治体に呼びかけ、同意を得た自治体により、早急に議論を開始することとする。なお、この懇談会には三戸郡だけではなく、上北郡、さらには岩手県北部など、広く周辺自治体の首長に積極的な参加を呼びかけ、信頼関係の醸成に努めることとする。
     
  7. 特別職給与の引下げ等
     策定中の第4次八戸市行政改革大綱案にもあるように、経常歳出の2割削減を実現するため、市職員の新規職員の抑制などにより、総人件費の削減が実行に移されつつある。この結果、八戸市は県内の他の市町村よりも行政改革は一段と進むことになる。しかし、市長が先頭に立ち、改革の速度をさらに速めるためには、市長自身の給与を思い切って引き下げることが求められる。このため、財政状況が好転するまでの間、新年度から特別職の給与を、現行の5.0%を上回る引下げを実施するとともに、退職金についても市民の理解が得られる額に見直すこととする。また、審議会委員等についても、関係者の理解を得ながら、原則として無報酬とする方向で検討することとする。
     
  8. 対話集会の開催
     コミュニティの再生は、市長が最も重視する施策の一つであり、是非ともその実現が望まれる。そこで半年間に1回程度、市職員がコミュニティに出向き、市政についての説明を行うとともに、コミュニティの抱える問題や課題を聴取する大まかなスケジュールを作成することとする。また、市長におかれては、上半期または下半期のいずれかの対話集会に出席し、忌憚のない対話を行うこととする。
     
  9. 行財政諮問会議(仮称)の設置
     八戸市が今後推進すべき重点施策やその進捗状況の検証、行財政改革の進め方などについて、大所高所から議論する場として、行財政諮問会議(仮称)を早急に立ち上げ、新年度から年4回程度開催することとする。マニフェストでは、「行財政諮問委員会」(仮称)とされていたが、市長みずからが座長を務め、リーダーシップを発揮すべきであると考える。
     
  10. 類似自治体との行財政比較の公表
     本市の行財政の現状は、必ずしも市民に十分に理解されているとはいえない。すでに行財政改革はかなり進んでいるとの意見がある一方、不十分であるとの指摘もある。このため、同規模の類似自治体との行財政比較を分かりやすい形で行い、広報誌等を通じ、広く市民に公表することとする。この中には、たとえば市民1千人あたりの予算額、市債残高、職員数等を盛り込むこととする。

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