【八戸特派大使通信】第31回 松田 隆行
松田 隆行(まつだ たかゆき) / 三味線奏者・民謡歌手
昭和48年八戸市生まれ。 幼少より民謡歌手を目指し、13歳で津軽三味線の手ほどきを受ける。平成14年に津軽三味線全国大会三連覇チャンピオンを受賞。若手民謡アーティストとして幅広いファン層 から支持を受けている。
唄に夜明けて…爆進中!!
最近、一人でいると、生まれてから二十歳まで八戸で過ごしたときのことをよく思い出します。小さい頃は、自宅で母が民謡、父が三味線を教えていることが周囲に知れると、「民謡小僧」などと馬鹿にされ、冷やかされたものでした。子供ながらに「なぜうちは、こんな道楽を生業としているのだろう」と嘆いたこともありました。
しかしながら、八戸を離れ、民謡とは無縁の人達との間で生活し、ふと我に返るとき、八戸小唄や俵積み唄等、無意識のうちに口ずさんでいる自分があり、「これが我天命! !」と三十歳で芸道を決意しました。
民謡は、その地域の名物や特産、自慢等を地図やガイドブックを広げなくても把握できますし、その土地に住む人々の心情や出来事、訛も歌詞となって現在も唄われています。近頃、津軽三味線ブームもあり、民謡と言えば「青森、津軽民謡」が一番人気でしたが、ここ数年、南部の民謡、しかも我が故郷青森南部(奥南部) の民謡が全国の民謡愛好者の間で唄われる現象が見られます。
その需要のせいか、関東、関西、九州まで招かれ、唄・三味線を披露する機会が増えています。中でも「南部追分、南部甚句馬方三下り」といった曲は、他曲と比べ派手さはないものの深い味わいがあり、それを求める最近の民謡業界、全国の民謡ファンの間では、秘ひそかなブームを呼んでいるようです。
今現在、「八戸」というと、新幹線の駅と言えば何となく分かっていただけるようですが、今後は、せんべい汁やいちご煮、イカの水揚げや蕪島等など、たくさんの特産や名勝地、そして何より「私が生まれた所です」と胸を張って言えるよう、八戸の魅力を三味線にのせて、演奏活動を頑張って参りたいと思います。
終わりに、母の口ぐせ「民謡は心の故郷、祖先が残した大切な文化遺産」を大切に、そして本当の故郷八戸も同様、大切にして参りたいと思います。
(「広報はちのへ」平成19年 11月号掲載記事)
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更新日:2020年01月07日