【八戸特派大使通信】第9回 花柳 光朋美
花柳 光朋美(はなやぎ みつともみ)/ 舞踊家(花柳流 師範)
八戸市生まれ。舞踊家。
推薦名流舞踊大会、女流名家舞踊大会など出演。
七福神 七人の福 分かちけり
初春に向かいお喜び申し上げます。八戸をあとにして早二十年あまり。踊りだけが支えと努めてまいりました。師匠花柳寿南海(はなやぎとしなみ)先生が人間国宝に認定され、更に文化功労者とうれしいことが続きました。国立大劇場で越後獅子(えちごじし)を踊られた時は、二度と拝見できない演目に門付芸人の細かい動作をも見逃すまいと、見ていた目からドーッと涙があふれ、晒(さらし)をふる姿に八十年の歴史が見えて、劇場いっぱいの人が泣いてしまいました。まさに魂が浄化されたようです。人間ってすばらしいのですね。
これまでふるさと便りと称して、御縁の方にお伝えしてまいりました。八戸を語るときには、三社大祭と十六日町様に入れていただき、自慢の山車を引く町っ子の粋(いき)を紹介したりしました。その縁あって、生後まもなくの子のアトピーを市内の病院で治していただき、それからは年1度の治療をかねて三社大祭を楽しんでいます。
偶然、八戸に宿をとった福島の中学校の先生は、三社大祭を見て、「素晴らしい祭りを里に帰って報告します」と喜んでおられました。また、文化人類学者の秋野晃司(あきのこうじ)先生は、神事である三社大祭の奉納食を調べに博物館を訪れ、八戸の成り立ちを見学したところ、史跡広場の入り口で年配のボランティアの方に温かく迎えられ、口跡あざやかな対応に満足しておられました。こうしたお心の賜(たまもの)こそが八戸の立派な窓口なのだとうれしくなりました。
二十代のころに作家の村上兵衛(むらかみひょうえ)先生、阪田寛夫(さかたひろお)先生、マガジンハウス田村様に出会い、私の異常にがんばる姿がおもしろかったのか、あれこれお世話いただきました。郷里は八戸と言うと「三浦哲郎さんじゃないの」と言われ、読まずして八戸は語れないと思い、今「いとしきものたち」から初版に逆上って読んでいます。懐かしい登場人物のやりとりに思わずふきだしてしまいます。
空気と土が豊かで食べ物はおいしく、赤提灯(ちょうちん)が恋しい季節です。東京からお客様をお連れするたび「美人が多いね」とよく言われます。これぞ最大の醍醐味ですね。八戸の舞踊会も益々盛会で、今では東京にお稽古に通う時代です。こうして八戸の声、東京の声を正しく伝えていくことが私の努めと自負いたしております。
(「広報はちのへ」平成18年 1月号掲載記事)
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更新日:2020年01月07日