【八戸特派大使通信】第11回 桂 小文治
桂 小文治(かつら こぶんじ)/ 落語家 真打
昭和32年八戸市生まれ。長者小・中、八戸高校卒業。昭和54年専修大学在学中に落語家桂文治の弟子になる。
昭和59年二ツ目に昇進。平成5年真打に昇進。二代目桂小文治を襲名。
修業と八戸気質
大学の受験で試験問題と意見が合い、上京してかれこれ30年。早いものです。落語研究会に入会したのをきっかけに、落語に夢中になり、噺家(はなしか)になってしまいました。私にとって大学の生活は、勉学にいそしむ事はなかったものの、決して無駄ではなかったと思います。その自由な学生生活から一変して、噺家の修業生活になった時には正直大変でしたね。
噺家には前座、二ツ目、真打(しんうち)の段階があります。一番下の前座の時代は、内弟子といって、師匠の家に住み込みで修業します。自由なんかまったく無く、常に気を遣い、用事をこなさなくてはいけません。自分勝手な了見は小言の嵐、最悪破門になってしまいます。前座に自分の権利は無いんです。
でも師匠亡き今、修業させていただいた恩をひしひしと感じます。辛い時、八戸の楽しかった時の思い出が色々浮かんできたものです。母親に抱かれてる子どもの気分とでも言いましょうか、とても気が楽になりましたね。普段は浮かびません。ふるさとの不思議な力です。
八戸の人は、誰でも心の奥に優しさと純朴さを持っていると思います。私は二ツ目時代に、お客様に笑ってもらおうと、無理に変な顔をしたり、奇声を出したり、やたらに噺の中に新しい言葉を入れたりした事もありましたが、それはやめました。私に合わない事がわかったのです。「噺を素直に受け止め、素直に演ずる」これが一番!素直ですよ、純朴な気持ち。やはり私は八戸人なんだなと思います。
もちろん噺は生き物のようなもので、いつも同じとは限らず、また変っていかなければなりません。新しい工夫を常に心掛けてます。
二ツ目に昇進した年から、高校時代の友達を中心に裏方をやってもらい、年に1度八戸で落語会を開催致しております。真打昇進の時には、記念興行とパーティーをやってもらいました。
なんと有り難いことでしょう。友達はもとより、お出でいただくお客様方のご贔屓御引き立てあっての賜(たまもの)と感謝の念に絶えません。皆様も11月には是非「桂小文治独演会」にお越しいただき、落語の魅力を味わっていただけたら幸いです。
(「広報はちのへ」平成18年 3月号掲載記事)
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更新日:2020年01月07日