【八戸特派大使通信】第17回 坂下 允章

更新日:2020年01月07日

坂下 允章(さかした まさあき)/八戸短期大学ライフデザイン学科教授

坂下 允章さんの写真

八戸市生まれ。八戸高校・東京大学法学部卒業。

昭和40年三菱商事譁入社。平成12年プラス・ティー譁社長、平成13年徳間ジャパンコミュニケーションズ譁顧問、その後八戸大学講師、同大学ビジネス学部教授を務める。

マクロ的に経済は上方転換したと言われるが地方経済にはその実感は程遠い。 地方の時代と言われて久しいが目に付く成果を知らない。他方、政府は三位一体改革の名の下に地方に自立を迫る。今こそ官民一体で知恵を出さないと地方は敗者となる。パイの小さい地方経済ほど一つ成功すればそのインパクトは大きい。だから今が正念場だろう。首をすくめ事態の好転を待つのは問題の先送りとなる。

大切なのは当事者意識である。評論家はいらない。「他人がやらなきゃ俺がやる」の気概が必要である。民は「官を頼らない」という意識を持つことだ。

他方、官にも努力が必須である 。 顧客主義。官は「住民・地域は顧客」との意識に徹すべきである。なにも愛想良くということではない。 24時間住民・地域にとって何がより良いことかを考えることである。このモノサシに立ち、費用対効果(投資効率)を厳しく選別して予算配分(投資)を決める。税投入が後年さらに大きな税収となって戻ってくるのが、 税の上手な使い方である。既存業務も同じ。本当に官がやる必要があるのか、官とすれば何人人材が必要か、ギリギリの取捨が必要(選択と集中)。

官の無謬性(官は間違いを犯さない) が誤用され弊害が出てはいないか。間違いを恐れるあまり無用に長いコンセンサス作りや、更に後日非難されないための配慮のために、結局やっても時間が掛かったり、何もしないことが安全という結果になってはいないか。スピード。良いことをしても時間が掛かりすぎては、夏炉冬扇の類で、効果が薄い。適時適打である。

もちろん何でもかんでも早ければ良いのではなく、じっくり検討すべきこととすぐ決断すべきこと、後で修正が可能な決断内容かの判断は必要である(決断の選別)。最後に、これらを踏まえて意識・ 行動・成果を個人別に評価するシステムの裏付けが必要である。

すべてではないが、経済原則に従った行動規範を合理的な範囲で速やかに導入し、市民がともに見守ることが肝要と思う。

(「広報はちのへ」平成18年 9月号掲載記事)

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