【八戸特派大使通信】第20回 山脇 直司

更新日:2020年01月07日

山脇 直司(やまわき なおし)/東京大学大学院総合文化研究科教授

山脇 直司さんの写真

昭和24年3月八戸市生まれ。 白菊小、第三中、八戸高校卒。一橋大学経済学部卒業後、上智大学大学院を経て、ミュンヘン大学哲学博士。

現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。ユネスコや京都フォーラム主催の国際会議に数多く参加し、経済産業省産業構造審議会基本政策部会委員も務めている。著書に「公共 哲学とは何か」(ちくま新書)などがある。現在、横浜市在住。

今から40数年前、団塊世代に属する私は、新設の第三中学校に通っていました。 現在と違って、当時の校舎は田んぼに囲まれていて、冬には積雪で道がふさがって下校困難になるため、午前中で授業が打ち切られ、みんなで大喜びすることもありました。そうした思い出が詰まった中学校時代の中でも特に印象に残るのは、金の卵という名の下に多くの卒業生が高校進学を断念して上京したことです。

当時は、八戸も新産業都市に指定されましたが、日本の高度経済成長を支える労働力として、地方から中学卒業者がわざわざ上京して就職する姿には、何かしら不公平でやりきれない気持ちを抱きました。

しかし今や、「進んだ中央、遅れた地方」 というイメージは、完全に時代遅れになりました。当時は特急で12時間もかかった東京-八戸間も3時間に短縮され、八戸は「海と大地が響きあう北の中核都市 ~魅力・活力・市民力あふれる力が次代を拓 ひらく~」として、全国にアピールしようとしています。そして私もこの度、その一翼を担う仕事を賜りました。ちなみに、小林市長は、私が通った小学校と高校の2年後輩にあたります。

現在の私は、東京大学の駒場キャンパスで、1年生から大学院生まで、公共哲学という新しい分野の授業を担当しています。そこで特に強調しているのは、かつては政府や官が独占していた「公共性」 を、今では一般市民も共に担うと考えなければならない時代に入ったということ、そしてそういう時代にふさわしいライフスタイルは、個人を犠牲にして公に奉仕する「滅私奉公(めっしほうこう)」 でも、自分や身内のことしか考えない 「滅公奉私(めっこうほうし)」でもなく、一人一人を活かしながら、市民の公共活動を開いていくという意味での「活私開公(かっしかいこう)」という理念 に立脚すべきだということです。

魅力・活力・市民力をキャッチフレーズに掲げる北の中核都市八戸が、まさにそうした「活私開公」の模範都市となることを願ってやみません。

(「広報はちのへ」平成18年 12月号掲載記事)

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