【八戸特派大使通信】第40回 最首 公司

更新日:2020年01月07日

最首 公司(さいしゅ こうじ)/日本アラブ協会理事 GCC(湾岸協力機構)研究会世話人

最首 公司さんの写真

昭和31年上智大学新聞学科卒業後、東京新聞入社。社会部、編集企画委員、経済部を経て編集委員。 この間、中日新聞に移籍して編集委員を続け、一貫して中東、エネルギー問題を担当する。イスラム経済研究会に参加してイスラム圏の調査、研究を重ね、産油国首脳と親交を結ぶ。エネルギー業界を代表する 「石油文化賞」、「エネルギーフォーラム /普及啓発賞」の両賞を受賞している。

著書は「ソ連崩壊どうなる石油戦略」(共著、PHP研究所)、「人と火」、「水素の 時代」(エネルギーフォーラム)など多数。

南部せんべいをサウジアラビアに

19年度の農水省戦略的加工食品輸出プロジェクトに「サウジアラビアにせんべいを」という研究会ができた。その座長を1 年間勤め、つい最近、報告書代わりの「ハンドブック」が完成した。

いま、世界の人口64億、170余の政府があり、その政府系ファンド総額が2兆5、000億ドル。うち実に1兆6、000億ドルが人口3、000万のサウジアラビア、UAE、クウェート、カタールなど湾岸産油6か国(GCC)に集まっている。世界的な金融危機にあっても、この地域はまだまだ元気である。

この富を背景にGCC諸国はインフラの整備、教育の充実、石油代替エネルギーの開発などに力を入れているが、富裕層の家庭では肥満対策として減糖、減脂の日本食が好まれるようになった。セレブ女性が10人集まれば、3人は緑茶、それもアラブでは考えられないことだが「砂糖抜き」で注文するという。

テレビやゲームをしながら子供たちが食べるおやつも「ポテトチップス」や「ハンバーグ」から、よりカロリーの少ないと思われるクッキーやポップコーンに代わってきた。そういう時代背景での「サウジアラビアにせんべいを」というのは、誠にタイムリーな企画だった。

現地調査をしてみると、すでに「あられ」「おかき」が店頭に並んでいた。「せんべい」の原料はうるち米で、「あられ」はもち米ということも、この研究会で知ったが、アラブで好まれるのは実は「あられ」である。せんべいを食べるときの、あのバリバリという音が気になるようだし、のりやごまの黒いのも不気味に映るらしい。

というわけで、私が思いついたのは「南部せんべい」。あれを「あられ」のように小粒化できないものだろうか?そして、できれば日本製らしく(米国製、タイ製、韓国製などが多い)、国内産米でできないだろうか?味付けにサウジ産のデーツ・シロップを使うともっと歓迎されるだろう。

(「広報はちのへ」平成20年12月号掲載記事)

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