【八戸特派大使通信】第42回 豊嶋 裕子

更新日:2020年01月07日

豊嶋 裕子(としま ひろこ)/ピアニスト

豊嶋 裕子さんの写真

八戸市内丸生まれ。三八城公園、おがみ神社に遊び、八戸小、旭ケ丘小、 大館中、八戸東高から東京音楽大学に進み、ジャンルを越え広い分野において、ピアノ奏者として国内外の第一線で活動。また、自然がテーマのCD「茄子の花」製作。この2月にはCD「種差海岸」発表。

大使就任の朝に想う

東京で演奏の仕事を始めた時、私は無名でコネも無く、あるマダムから「どこの馬の骨?」と言われたこともあった。後日、そのマダムが一番能力を買ってくれてフランスの有名な歌手の伴奏に推薦して下さり、今ではマダムは大切な友人の一人だ。

三年連続歌唱賞をとっていたザニボニという歌手の伴奏を、万難を排して臨み、実力以上の評価を得て、以後パリの公演や日本ツアーを長年務め、パトリックヌジェなど外国人アーティストとの共演は現在まで続く。歌手で画家でもあった(故)高野圭吾氏も又、新人だった私を『僕らの宝物』と言って下さり、亡くなるまで伴奏を務めた。慎ましい民衆の歌を歌った彼の訳詩は今も多くの人に愛されている。

東京での30年の間、数々、失敗もしながら、多くの人に出会い支えられた。ボニージャックス、堀内環、他、沢山の素晴らしい歌手の方々とは勿論、各界の著名な方々、医学博士(故)水島裕先生や鳥越俊太郎氏や多くの方に音楽を通じて貴重な経験を頂いた。

そして今、才能溢れる東京の音楽仲間や八戸で応援して下さる有志の方々が大切な宝。帰省の際は必ず種差海岸の緑の芝生と真っ青な海に会いに行く。海には母の優しさと強さがある。種差はアイヌ語でタンネサシ(昆布のつく浜) と言うそうだ。司馬遼太郎が日本で最も美しい浜と讃えた海岸。昨年から八戸でのコンサートを一緒に作っている最強のメンバーでヴァイオリニストの福森隆氏が『種差海岸』という、とても美しい曲を作ってくれた。間奏では愛くるしいウミネコの鳴き声も弓で奏でて、我が妹も涙してくれた。 まもなく皆さんのもとに届けられる。

大使就任の日の朝、海に出かけた。鳥たちが煌めく波間に浮かんで遠くの景色をみている。 鳥達は八戸での素晴らしい出会いを祝福してくれているように見える。怠らず精進しなさい、八戸を大事にしなさいと言ってるようにも見える。自然も人も文化も、吹き抜ける風も人知れず咲く花(人)も、親子の絆も、身寄りの無い老人も、すべての思いは繋がっている。その思いを皆さんと共に守り伝えて行きたい‥そして有意義な時間を楽しく共有するお手伝いが出来たら幸せです。

情緒豊かな城下町八戸を愛し、住み、才能を捧げ、守り続ける人々、そして父母に感謝を込めて。

(「広報はちのへ」平成21年 4月号掲載記事)

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