【八戸特派大使通信】第47回 奥山 千鶴子
奥山 千鶴子(おくやま ちづこ)/ NPO法人びーのびーの・NPO法人子育てひろば 全国連絡協議会 理事長
鮫小学校、鮫中学校、八戸高校を経て、昭和60年、筑波大学第二学群人間学類卒業。
平成12年4月、子育て中の親たちで商店街空き店舗を活用した「おやこの広場びーのびーの」 を立ち上げ、以後、学生からシニア世代まで多様なボランティアに支えられ、地域に根ざした幅広い子育て支援活動を展開中。
その功績から20年に内閣府「子どもと家族を応援する日本」内閣総理大臣賞を受賞。
中学生を筆頭に3児の母。旧姓は浅水。
私は、現在横浜にて、主に0歳から3歳までの子どもを育てている家庭への支援(子育て家庭の交流の場、相談、情報発信など)を行っている市民団体を運営している。首都圏は出身地が異なる人たちで構成され、子育て家庭は、近くに祖父母や親戚がいるわけでもなく孤立しがちである。私自身も初めての子育てのときには知り合いもいない中で孤独感も感じることがあった。
私の八戸での子ども時代は、とても豊かなものだったと思わずにはいられない。親はたいへん忙しかったと思うが、大人は誰の子どももお構いなしに声をかけてくれたし、下校後は海に行ったり年齢の異なる子ども同士でも遊んでいた。学校でも、先生方は子どもと放課後遊ぶ余裕もあったし、先生方の自宅に遊びに行くようなこともあった。
自分が子育てをするようになって、あまりの自分の子ども時代との違いに、途方にくれてしまった。知り合いもいないし、相談できる人もいない。それでも、子どもたちにとってはこの横浜がふるさとなんだと思えば、私が八戸に思いを寄せるのと同様に、子どもたちにとってのふるさと作りに取り組まなくてはならないと考えたのである。
乳幼児を育てる家庭への支援は、「子どもにとっての人生のはじまりを確かなものにする」という意味でたいへん貴重なことだと思っている。子どもが健やかに育つためには、家庭はもちろん、システムとしての社会的支援(仲間づくり、保育、相談、預かりサービスなど)とまわりの人たちの手助けが必要だと思っている。
私が取り組んできた、乳幼児とその養育者が気軽につどい交流できる場は、全国に1200か所以上に増えてきた。市民が始めた取り組みを国が事業化し市町村が実施している。しかも、約半数は民間への委託による実施である。暮らしに必要なことは行政だけが担うという時代ではない。市民感覚で必要なものを提案し、実施して市民に共感してもらうこと、そんな提案できる市民団体を育てる役割こそが行政に求められていると感じている。
- 子どもが産まれて、生活が180度かわった。
- 子どもが産まれて、時間の流れがかわった。
- 子どもが産まれて、社会の弱さが目についた。
- 子どもが産まれて、人の温かさを知った。 子どもが産まれて、親に感謝した。
- 子どもが産まれて、私に力が生まれた。 子どもが産まれて、世界がぐーんと広がった。
次の世代に何を引き継げるのか、大人の責任が問われる。乳幼児とその家族のための居場所づくりを通じて、子育て家庭の最初の一歩を応援したい。
(「広報はちのへ」平成22年 2月号掲載記事)
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更新日:2020年01月07日