【八戸特派大使通信】第53回 野澤 要一
野澤 要一(のざわ よういち)/ 三十三代 木村庄之助
昭和17年八戸市生まれ。昭和30年高砂部屋入門。平成18年2月第35代式守伊之助(しきもりいのすけ)を襲名。同年3月大相撲の行司における最高位の階級であり、力士の横綱にあたる「立行司」に昇格。続く4月には、「木村庄之助」を襲名し、行司の頂点に立つ。平成19年3月場所を最後に定年退職。平成19年2月八戸市民栄誉賞受賞。平成20年11月青森県文化功労賞受賞。著書「大相撲と歩んだ行司人生51年」(平成18年 英宝社)「力士(ちからびと)の世界」(平成19年 文藝春秋社)
昭和30年3月、八戸を離れ東京へ、大相撲の世界へと、この時、私は13才でした。高砂(たかさご)部屋は、松登(まつのぼり)・朝潮(あさしお)一行で群馬県桐生市にて興業を打っており、その地で相撲界に行司として入門しました。
入門3日目から兄弟子に審判法、相撲文字の書き方を教わり始め、勝負の見分け方としては、所作・動作もありますが、セオリーとして、力士との間合いを「付かず・離れず」取りなさい。力士の踵(かかと)が俵の上に乗ってもあまり気にするな、爪先が俵の上にかかった時は気を集中させよ。また、両力士が同体に落ちたと見た時は攻めている方に軍配を指しなさい。攻め手に五分の利有り、打っちゃりと寄り倒しの場合は、寄り倒しに軍配を上げる、上手投げと下手投げの場合は、上手投げに軍配を上げると教わりました。また、行司の掛け声「ハッキヨイノコッタ」は、ラジオを聞いている方が、掛け声の掛け方で相撲がどんな展開なのか想像出来るような掛け声を掛けなさいと言われましたが、52年間の土俵を振り返ってみまして、これは行司として永遠の課題かなと思っております。土俵上も相撲文字も、体で覚えろ、習うより慣れろと言われたことを昨日のように想います。
行司として52年間勤め、三十三代庄之助として定年を無事迎えることが出来ました。お陰で八戸市から市民栄誉賞を賜たまわり、並びに祝賀会を開催して頂きましたことを感謝しております。
その会場でのえんぶりの舞に魅了され、帰京後、近所の友達にファイルした写真をお見せし、話をさせていただきましたら、翌年、奥様達が八戸えんぶりを見物に出かけてくれました。陸奥湊の朝市、そして八食センターでは七厘村で食事をし、楽しんで来られたようでした。
私の過ごした八戸での13年間の想い出の一つに、叔母の計らいで、八戸三社大祭の山車を引かせてもらったことが記憶にありますが、三社大祭と言えば東北新幹線全線開業オープニングキャンペーン「とことん青森in東京」の中で、青森四大祭り競演として三社大祭の山車も設置されると聞き、友人をお誘いしました。また、東京ドームでの「ふるさと祭り東京」等も郷里を離れている私共にはとても懐かしいものであります。
長年、大相撲の世界で生きてきた私に、行司、呼出し、床山等に関する話しを聞きたいと声をかけて下さるサークル等があり、時折出かけておる今日です。
(「広報はちのへ」平成23年2月号掲載記事)
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更新日:2020年01月07日