【八戸特派大使通信】第59回 石田 勝雄
石田 勝雄(いしだ かつお)/ 琵琶製作修理技術者 四世 石田不識
昭和12年八戸市尻内町生まれ。
上京して宮大工をしていた際、先代である三世石田不識の後継者として迎えられるも、本格的な修行を前に先代が急逝。
昭和45年に雅号を継ぎ、試行錯誤の末に習得したその高い技術は、国内外の琵琶演奏家から厚い信頼を寄せられている。
平成15年文化庁長官表彰、平成18年文化庁選定保存技術保持者認定、平成20年旭日双光章を受章している。
私は、尻内町の生まれです。三条中学校を卒業して、1年程過ぎて大工の見習いで上京致しました。
26才の時、石田琵琶店三世不識の娘と結婚してから6年過ぎに三世が亡くなり、私が四世不識を継ぐ事になりました。しかし、先代から技術を仕込まれたことはなかったので、大変苦労致しました。
私共は、東京都御蔵島(みくらじま)、三宅島(みやけじま)の桑の丸太を仕入れて、10年間自然乾燥させたものを使い、琵琶を製作しています。琵琶には、四絃のものと五絃のものがあり、四絃は古典、五絃は古典と現代邦楽が中心となっています。流派も多数あり、いい音を出す琵琶を作るために演奏会に出かけては耳を養ったり、先生方にアドバイスをいただいたりと試行錯誤してきました。お客様の支えがあったからこそ、今の私があります。
最近では日本だけでなく海外からも注文があり、洋楽にはない音色がとても人気があります。お客様の中には、アメリカのカーネギーホールでオーケストラと共演された方もいらっしゃいます。こうしたお話をお客様から聞いていると、音楽の世界は形式にとらわれず、いろいろな音を使って変わっていくのだと思います。私も外国旅行へ行った際には、勉強がてらクラシック音楽を聴いて帰ってきますが、ウィーンのオペラ座で琵琶の演奏ができたら素晴らしいと思っています。
昨年7月、私と琵琶製作修理技術者であり琵琶演奏家の息子と2人で、八戸酒造の煉瓦蔵を会場に薩摩琵琶の講演と演奏をしました。久しぶりにふるさとの景色と人々の顔を見て、私も楽しませていただきました。私は八戸を離れて58年になりますが、今でもふるさとの方言が一番だと思っています。マスコミから取材を受ける際に笑われることもありますが、南部方言は私の宝であり、自慢です。
私共の店も創業133年になり、私と息子との二人三脚でがんばっています。雅楽琵琶の御注文が入り、お客様の期待に応えるため私の責任も重大ですが、いい音の琵琶を作るため一生勉強です。
(「広報はちのへ」平成24年2月号掲載記事)
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更新日:2020年01月07日