【八戸特派大使通信】第63回 工藤 冨之

更新日:2020年01月07日

工藤 冨之(くどう とみゆき)/ エネルギー問題アナリスト

工藤 冨之さんの写真

昭和15年八戸市尻内町に生まれ、34年八戸高校卒。38年東大卒( 国際関係論)、52年米国エール大大学院卒(開発経済学)。

昭和41年民間会社勤務後、通産省(現経産省)入省。資源エネルギー、経済協力、中小企業や地域開発の行政を担当。 

平成2年退官。その後、中小企業基盤整備機構、石油エネルギー技術センターなどの役員を歴任し、昨年退任。現在東京都中央区在住

八戸の国際化を考える

外国で出会った八戸産品

30年程前に米国に勤務していた頃、日本食品店で我が好物の「八戸産しめさば」と「納豆」を見つけた時は、飛び上がらんばかりに喜んだ。

もう一つ忘れられないことは、ソ連崩壊直後の東欧で、思いがけず「すきこぶ」の煮つけにありつけ、感激したことだった。これはさる大使館員の奥様が湊出身で、物資不足の中、わざわざ御自宅で作って下さったものだった。

今は、いろいろな産品が世界各地で入手できるようになり、隔世の感がある。

目の当たりにした八戸への輸出

40年前、南米に出張した折、世界有数の非鉄鉱山を視察する機会に恵まれた。仕向け先が八戸にある製錬所と聞き、訪れたのだった。この鉱石が、はるばる太平洋を越え、地球を半周して八戸に運ばれていくのかと思うと感無量であった。

時は移り、10年前、インドネシアでLNG(液化天然ガス)の開発を手掛けている石油元売り会社の方々と会う機会があった。元売りにとってLNG分野への進出は、永年の悲願であっただけに、説明には、赤道直下、文字通り熱い思いがこもっていた。

この時は、このLNGの日本側の受け入れ基地が八戸になるとは、思いもよらなかった。今や、八戸の基地が、北日本の重要なエネルギー供給基地になりつつあることを聞き、喜び一入である。

国際化への期待

我が国の産業の国際化の進歩は目覚ましい。例えば、自動車、電機等の主要企業の海外活動の比率は軒並み5割を超えているし、コンビニや広告代理店でさえも、積極的に海外進出に動いている。一方、エネルギー、原材料、食料の海外依存の高まりは避けられない。

八戸がこれからも発展していくために大事なことは、押し寄せる国際化の波に乗り遅れないことであろう。

最近在京企業の八戸での活動ぶりをよく耳にする。ある商社の話では、八戸がノルウェー産のさばの一大得意先になってきたとのことである。「八戸前沖さば」のブランド化が進められる中、国際化を進める八戸の企業のたくましさに感じ入った次第である。

若い世代のために

今、就職や進学に向けて頑張っている若い世代に一言述べたい。

大事なことは、学校や企業の選択もさることながら、将来どんな分野でどんな仕事をすべきかを考えて、勉強し、努力し、行動することであろう。その際、忘れてならないのは、止めようのない国際化の流れと、依然存在する情報の格差である。地域全体としての取り組みと支援が望まれる所以である。

  (「広報はちのへ」平成24年10月号掲載記事)

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