【八戸特派大使通信】第67回 市川 笑也

更新日:2020年01月07日

市川 笑也(いちかわ えみや)/ 歌舞伎俳優

市川 笑也さんの写真

八戸市出身。八戸工大一高卒。昭和55年3月国立劇場第五期歌舞伎俳優研修修了。同年4月国立劇場(小)「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)」の中間で初舞台。56年2月三代目市川猿之助(現・猿翁)の門下となり二代目市川笑也を名のる。平成2年2月 猿之助の部屋子となる。10年7月歌舞伎座「義経千本桜」鳥居前の静御前で名題昇進。15年「第5回冬季アジア大会 」では開会式の演出を担当。21年3月大河ドラマ「天地人」出演。

八戸の皆様、こんにちは。私は、八戸市出身の歌舞伎俳優・市川笑也です。歌舞伎俳優と言いますと、代々世襲で”歌舞伎俳優の家に生まれた人がなるもの”というイメージがあるかもしれませんが、高校までは八戸で過ごし、中学のアイスホッケーの試合ではペナルティボックスの常連だった私も、ひょんなことから歌舞伎界の一員になりました。18歳で単身上京した私にとって八戸は、両親や親戚、優しい大人たちに囲まれて”子ども”で居られた懐かしい故郷です。

そして、歌舞伎俳優になりましてからは、故郷の皆様が東京までお越し下さりご観劇頂きましたり(新幹線が開通する遥か前からです)、また巡業公演で八戸の舞台に立った折には、八戸の皆様から大きなご声援を頂くなど、さまざまなお力添えを頂き感謝しております。

一昨年11月に歌舞伎の巡業公演で八戸に参りました時のこと。八戸の皆様にも大勢様ご来場を頂き、大先輩の女形・片岡秀太郎さんや花形の中村獅童さんらと共に八戸市公会堂の舞台に立つことが出来て、久しぶりの故郷に感激もひとしおでした。

そして更に、巡業メンバーに地元”八食センター”が大人気だったのも嬉しい出来事でした。巡業は、毎日のように違う場所に移動して芝居をする大変忙しい公演ですが、そんな中でも地元のお店に行き、その土地の方々とお話をする楽しみはまた格別のものです。そこで、故郷八戸での公演に際して私が皆に勧めたのは「海の幸をぜひ味わって!」ということでした。俳優はもとより大道具さんや衣裳さんなどのスタッフさん達が、空き時間に”八食センター”を訪れ、お昼ご飯を食べたり、自宅に干物や塩ウニを送ったり…。いずれも「美味しかったぁ」と高評価で、「我が故郷の味はどうだ!」と私も鼻高々でした。

さて、この夏も松竹大歌舞伎巡業公演(7月9日火八戸市公会堂)で里帰りをすることになりました。座頭は、テレビなどでも活躍中の四代目市川猿之助で、襲名披露公演ならではの「口上」の一幕もございます。私は、通常は女形のこしらえで「口上」に出ておりますが、今回は初めて立役姿でのご挨拶となります。

皆様には、ぜひご来場を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

(「広報はちのへ」平成25年6月号掲載記事)

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