【八戸特派大使通信】第68回 金田 武司

更新日:2020年01月07日

金田 武司(かねだ たけし)/ 株式会社ユニバーサルエネルギー研究所 代表取締役社長

金田 武司さんの写真

昭和37年生まれ(50歳)。平成2年東京工業大学大学院博士課程修了(工学博士)。株式会社三菱総合研究所先進エネルギー研究チームリーダー、次世代エネルギー 事業推進室長を経て平成16年11月より現職。東京大学、東京工業大学などで非常勤講師としてエネルギー・環境に関わる講義を担当。行政機関の委員会委員 など歴任すると共に、フジテレビ、テレビ朝日などでエネルギー問題に係わるニュース解説、コメンテーターなど多数出演。

八戸市より「東日本大震災八戸市の記録」なる大部が届いた。夜遅く自宅に帰って何気なくパラパラ見始めたのだが、気が付いたら明け方になっていた。そして重かった。上質な紙にカラー印刷だからでは無く、知った風景の変わり様に驚いたからでも無い。被災の状況はマスコミを通じて東京でも様子は良く知っていたし、地元のお話を伺う機会も多かったので知っていたハズだった。

私が重く感じたのは、ここに記録されている子供たちのまぎれもない「笑顔」である。保育園の園庭を整える高校生の姿、種差海岸の清掃に汗を流す子供たちの「笑顔」。震災直後、厳しい環境の中で笑顔を失わない「八戸魂」が重かった。そして忘れていたものを発見させてもらった。東京で暮らしていると、まちで子供たちの笑顔に接する機会が少ない。この重さはわれわれ大人が感じるべき責任の重さであると同時に、八戸の子供たちの素直な笑顔は復興のシンボルだと思った。

そういえば、6年前この「特派大使通信」に「こどもたちのために」と言うコラムを投稿し、こどもたちはほめることによって成長する事を書いた。そして、天明の飢饉を例に天災に備えることの大切さ、こどもたちに残すべきものを書いてみた。いまは、八戸の元気な子供の笑顔こそ後世に残すべきものだと思っている。そしてこれこそ褒めてあげたいと思う。そこで市に提案がある。復興にむけて頑張った八戸市の元気な子供たちの思いを未来に向けて残す「碑」を制作してはどうだろうか。「碑」と言っても、必ずしも石碑ではなく、映像やアプリ等のデジタルコンテンツでもいい。八戸のこどもたちの元気、復興に向けた意気込みや「夢」を伝えられるものが、多くの人の目に触れるところにあれば良いと思う。

復興と言うものは、元通りにすることでは無く、この笑顔を通して未来を創造する事だという事をこの記録映像は教えてくれた。元通りどころか、さらに元気な、美しい八戸を創造してもらいたい。でも本当にそれをするのは、できるのはあの時に頑張った、将来を背負ったあの笑顔の子供たちである事を忘れないでいたい。あの子供たちのために何ができるのか自分に問い続けて行きたいし、行政がなすべきことはそのようなことであってほしい。宜しくお願い申し上げます。

(「広報はちのへ」平成25年8月号掲載記事)

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