【八戸特派大使通信】第73回 蛇口 浩敬
蛇口 浩敬(へびぐち ひろたか)
八戸市出身、東北大法卒。東京銀行入行、マールブルグ大学留学、スイス総支配人、取締役ドイツ総支配人など海外勤務通算18年。その間デュッセルドルフ日本 商工会議所会頭、日独経済円卓会議創設などで、ドイツ連邦勲一等十字勲章を受章。横河電機顧問を経て、平成14 ~25年八戸大学・短期大学学長を歴任。
八戸市総合計画委員長、弘前大学諮問会議長、青森県高校グランドデザイン会議長などを務めた。東京在住。76歳。
八戸南部人気質にエール
平成14~25年の間、46年ぶりに故郷八戸に住み、その後東京の自宅で1年ですが、12年前の第一印象は、特に中心街は本当に「きれいな街」と映り感心しました。他方周辺の旧住宅地からは塀も住民も消え子供の遊び場も声もなく、一方ハマのメーン通りも似ていて少し寂しい街と感じました。
一方、人も産業も元気一杯で文化活動も多彩、観光資源もありで大変活気ある地域柄に勇気づけられました。やはり八戸人気質の賜、直ぐに3点浮かびます。
- 「よそもの」を快く受け入れるオープンな心→全国から優良企業が進出
- トコトン話し合い(含・裏でも)ねばるこころ意気→東北人共通の特徴
- 新しい世界にも飛び込む進取の気性→学校法人やスポーツ分野など多岐
実はその3点は筆者が18年住んだドイツ人社会とよく似た特徴でもあります。(2)で真正面から議論するかという(むしろ津軽人気質的な?)アプローチの違いはありですが最後までねばるなど共通です。
また東京から八戸を振り返ると、首都圏は圧倒的な財力で全国から人を吸引中という強力なライバルに見えます。保育優遇策競争で若者を惹きつけ、そのつてでシニア世代まで移住のパターン、正に地方にとって脅威です。
しかしそれに憶する事は無いと思っています。何故なら広漠とした東京は大抵は自ら望んだ定住の地ではないからです。酷暑・痛勤・特養不足等に留まりません。人と人との触れ合いが決定的に不足し、コミュニティ論以前の状態ゆえのように思えます。外国人にとっても面白みの薄い街です。
八戸南部には首都圏に欠落した部分が全て備わっています。ドイツでは自主独立の「地方都市」がベストという哲学を誇りにしています。八戸でも「どんな街にしたいか」、50年かけても放漫拡散市街地から新しいコンパクトシテイ確立で、移住者にも住みやすい街になって欲しい。そのために今市民に求められているのはもはや首都圏レベル発想での競争ではなく、八戸人気質をベースにしながら発想の原点をほんの少し国際面に広げ、正に新たな進取の精神を発揮していくことだと思います。そのようにして世界の八戸になると信じています。
(「広報はちのへ」平成26年6月号掲載記事)
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更新日:2020年01月07日