八戸地域広域市町村圏事務組合火災調査規程

 

(平成22年3月25日消防長訓令第3号)

 

改正

令和4年1212日消防長訓令第1号

 

 

 

八戸地域広域市町村圏事務組合火災原因及び損害調査規程(昭和48年八戸地域広域市町村圏事務組合消防長訓令第7号)の全部を改正する。

目次

 第1章 総則(第1条―第3条)

 第2章 調査業務体制

  第1節 調査の原則(第4条―第8条)

  第2節 調査態勢(第9条―第11条)

 第3章 調査業務の処理

  第1節 調査実施上の通則(第12条―第20条)

  第2節 基本的事項の処理(第21条―第30条)

 第4章 調査業務の執行

  第1節 火災出場時の調査(第31条・第32条)

  第2節 鎮火後の調査(第33条―第40条)

  第3節 鑑識等(第41条―第46条)

 第5章 調査結果の記録等

  第1節 調査書類の作成(第47条―第49条)

  第2節 火災の報告(第50条―第55条)

  第3節 照会の対応(第56条・第57条)

 第6章 震災時の火災調査

第1節 震災時の火災調査体制(第58条―第64条)

第2節 調査結果の報告及び活用(第65条―第67条)

第7章 雑則(第68条)

 附則

第1章 総則

 (趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。

 (定義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 (1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果があるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。

 (2) 爆発現象 化学的変化による爆発の1つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガス及び熱を発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。

 (3) 調査 火災予防を主とする消防行政施策の資料となるものを火災現場から収集し、活用するための質問、実況見分、鑑識、鑑定、実験、照会等の一連の行動をいう。

 (4) 鑑識 火災原因及び火災による損害の判定のため、専門的な知識、技術、経験及び機器を活用し、総合的な見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。

 (5) 鑑定 火災にかかわる物件の形状、構造、材質、成分及び性質並びにこれらに関連する現象について、科学技術的手法により必要な試験及び実験を行い、その結果を基に火災原因の判定のための資料を得ることをいう。

 (6) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。

 (7) 上級調査員 第10条の規定により消防署長(以下「署長」という。)が指定する者をいう。

 (8) 本部調査員 予防課の職員及び予防課長の依頼により招集された消防本部(予防課を除く。)の職員をいう。

 (9) 関係者等 法第2条第4項に規定する関係者(以下「関係者」という。)及び火災の発見者、通報者、初期消火者その他の調査の参考となる情報を提供し得る者をいう。

 (10) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設けた事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいう。

 (11) 収容物 柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物及びバルコニー、ベランダ等に置かれている物をいう。

 (12)  森林 木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹又はこれらの土地以外で木竹の集団的な生育に供される土地をいう。ただし、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。

  (13)  原野 自然に雑草又は灌木類が生育している土地で、人が利用しないものをいう。

   (14)  牧野 主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。

 (15) 車両 自動車、汽車、電車及び原動機付自転車をいう。

 (16) 被けん引車 車両によってけん引される目的で造られた車及び車両によってけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。

 (17) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。

 (18)  航空機  人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船等の機器をいう。

 (19)  用途  建物、車両、船舶、航空機等が占有され、又は使用されている目的をいう。

  (20)  業態  原則として、事業所において業として行われている事業の態様をいい、教育、宗教、公務、非営利団体等の諸活動を含むものとする。

 (調査の目的)

第3条 調査は、火災の原因及び損害を明らかにして、火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。

   第2章 調査業務体制

    第1節 調査の原則

 (調査の基本)

第4条 調査においては、物的証拠を主体とし、関係者等の申述に基づいて検討を加え、科学的方法による合理的な事実の解明を図らなければならない。

 (調査の区分及び範囲)

第5条 調査の区分は、火災原因調査及び火災損害調査とする。

2 火災原因調査の範囲は次の各号に掲げるとおりとし、当該各号に定める事項を明らかにするために行うものとする。

 (1) 出火原因 火災の発生経過及び出火箇所

 (2) 発見、通報及び初期消火の状況 発見の動機、通報及び初期消火の一連の行動経過

 (3) 延焼状況 火災の延焼経路、延焼拡大要因等

 (4) 避難状況 避難経路、避難上の支障要因等

 (5) 消防用設備等の状況 消火設備、警報設備及び避難設備の使用、作動等の状況

 (6) 住宅防火対策の状況 住宅用防災機器の使用又は作動等の状況

3 火災損害調査の範囲は次の各号に掲げるとおりとし、当該各号に定める事項を明らかにするために行うものとする。

 (1) 人的被害の状況 火災による死傷者、り災世帯、り災人員等の人的な被害の状況及びその発生状況

 (2) 物的損害の状況 火災による焼き、消火、爆発等による物的な損害の状況

 (3) 損害額の評価等 火災により受けた物的な損害の評価及び火災保険等の加入状況

 (調査の責任)

第6条 署長は、その管轄区域内で発生した火災の調査責任を有する。ただし、2以上の管轄区域にわたる火災の調査については、別に定めるものとする。

2 署長は、火災の発生を覚知したときは、直ちにその調査を開始しなければならない。

 (調査結果の管理)

第7条 消防長及び署長は、調査により得られた情報、調査結果に基づき作成された文書等を適切に管理するものとする。

 (調査結果の活用)

第8条 消防長は、調査結果を分析及び検討をし、火災の実態を明らかにするとともに、消防行政に反映することができる資料を整備し、活用するよう努めなければならない。

2 署長は、その管轄区域の情勢に合わせて調査結果の分析及び検討をし、消防行政に反映するよう努めなければならない。

    第2節 調査態勢

 (調査態勢の確立と技術の向上)

第9条 消防長及び署長は、常に機材の整備を図って調査態勢の万全を期するとともに、調査員の調査技術の向上に努めなければならない。

 (上級調査員の指定)

10 署長は、消防士長以上の階級にある者のうちから、上級調査員を指定するものとする。

 (本部調査員の派遣要請)

11 署長は、調査上特に専門的な技術又は知識が必要であると認めるときは、消防長に対し、本部調査員の派遣を要請することができる。

2 消防長は、前項の規定による要請があった場合は、火災の状況等を勘案し本部調査員を派遣するものとする。

3 消防長は、特に必要があると認めるときは、第1項の規定による要請によらず、本部調査員を派遣することができる。

   第3章 調査業務の処理

    第1節 調査実施上の通則

 (上級調査員等の責務)

12  上級調査員は、調査業務を適正に推進するため、他の調査員に対し積極的に指導又は助言を行わなければならない。

2 調査員は、調査業務を適正に推進するため、常に関係法令その他調査に必要な知識の修得、調査技術の研究及び調査能力の向上に努めなければならない。

3 調査員は、常に事実の確認を主眼とし、先入観又は個人的感情に走ることなく、科学的な方法及び合理的な判断により事実の究明に努めなければならない。

4 調査員は、調査の経過その他参考となるべき事項を記録しておかなければならない。

 (相互協力)

13 調査員は、相互に連絡協調を図り調査の円滑を期すとともに、原因の究明にあっては、綿密かつ詳細に行わなければならない。

 (法令の遵守)

14 調査員は、関係法令を遵守し、個人の自由及び権利を不当に侵害し、又は調査上知り得た秘密を漏らしてはならない。

 (民事不介入)

15 調査員は、調査事務の執行に際し、関係のある者の民事的紛争に関与してはならない。

 (関係機関との協力)

16 調査員は、関係機関と緊密な連絡を保ち、相互に協力して調査に当たらなければならない。

 (立入検査証の携帯)

17 調査員は、前条の調査に際し、関係のある場所に立ち入る場合においては、立入検査証を携帯し、関係者等から請求があった場合は提示しなければならない。

 (立入りの原則)

18 調査現場その他関係のある場所への立入りは、原則として、関係者等の立会いの下に行うものとする。

 (質問)

19 調査員は、関係者等に対して調査上必要な事項を質問し、火災状況の把握に努めなければならない。

2 前項の規定による質問は、別に定めるところにより行うものとする。

 (少年等に対する質問等)

20 少年法(昭和23年法律第168号)第2条第1項に規定する少年、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に規定する身体障害者又は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に規定する精神障害者(以下「少年等」という。)に対して質問を行う場合は、立会人を置いて行うものとする。ただし、立会人を置くことにより真実の申述を得られないと認められる場合は、この限りでない。

2 少年等に対して質問を行うに当たっては、少年等の心情を考慮し、充分な理解をもって当たらなければならない。

3 少年等は、実況見分に立ち会わせてはならない。ただし、年齢、心情その他の事情により支障がないと認められる場合は、この限りでない。

    第2節 基本的事項の処理

 (火災件数の取扱い)

21 1件の火災とは、1つの出火点から拡大した火災で出火から鎮火するまでのものをいうものとする。

2 前項に定めるもののほか、火災件数の取扱いに関する基準は、別に定めるものとする。

 (火災による損害区分)

22 火災による損害は次の各号に掲げるとおり区分し、その内容は当該各号に定めるところによる。

 (1) 焼き損害 火災の火炎による焼損、熱による炭化、溶融、破損等の損害をいう。

 (2) 爆発損害 爆発現象による物件の破損、汚損、倒壊等の損害をいう。

 (3) 消火損害 火災の消火行為に付随して生じる水損、破損、汚損等の損害をいう。

 (4) その他の損害 火災による煙、物品の搬出等による損害をいう。

 (火災の種別)

23 火災の種別は次の各号に掲げるとおり区分し、その内容は当該各号に定めるところによる。

 (1) 建物火災 建物又はその収容物が焼き損害を受けた火災をいう。

 (2) 車両火災 車両若しくは被けん引車又はそれらの積載物が焼き損害を受けた火災をいう。

 (3) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼き損害を受けた火災をいう。

 (4) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼き損害を受けた火災をいう。

 (5) 林野火災 森林、原野又は牧野の樹木、雑草、飼料、敷料等が焼き損害を受けた火災をいう。

 (6) その他の火災 前各号に定めるもの以外のものが焼き損害を受けた火災をいう。

2 1件の火災について前項各号に掲げる種別が複合する場合は、焼き損害額が最も大きい種別をもって当該火災の種別とする。ただし、その態様により、焼き損害額が最も大きい種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。

3 前項本文に規定する場合において、複合する種別ごとの焼き損害額が同額であり、又は算出されないときは、出火元の種別をもって当該火災の種別とする。

4 前3項の規定は、爆発損害のみの火災の種別について準用する。

 (焼損の程度)

24 建物1棟ごとの焼損の程度は、次の各号に掲げるとおり区分し、その内容は当該各号に定めるところによる。

 (1) 全焼 建物の70パーセント以上を焼損したもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えても再使用できないものをいう。

 (2) 半焼 建物の20パーセント以上70パーセント未満を焼損したものをいう。

 (3) 部分焼 全焼、半焼及びぼやに該当しないものをいう。

 (4) ぼや 建物の10パーセント未満を焼損したもので、かつ、焼損面積が1平方メートル未満のもの又は収容物のみを焼損したものをいう。

 (焼損面積の算定等)

25 建物の焼損面積は、焼損床面積及び焼損表面積に区分して算定するものとする。

2 前項の規定は、建物の水損面積、破損面積及び汚損面積の算定について準用する。

 (出火日時分の決定)

26 出火の日時分は、関係者の火災発見状況及び通報又は覚知の時分、消防対象物の構造、材質及び状態並びに火気取扱い等の状況を総合的に検討し、合理的に決定するものとする。ただし、鎮火後に覚知された火災の出火の日時分については、別に定めるところにより決定する。

 (世帯のり災程度)

27 1世帯ごとのり災程度は、次の各号に掲げるとおり区分し、その内容は当該各号に定めるところによる。

 (1) 全損 火災による建物(その収容物を含む。以下この条において同じ。)の損害額(以下この条において単に「損害額」という。)がり災前の建物の評価額の70パーセント以上のものをいう。

 (2) 半損 損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント以上70パーセント未満のものをいう。

 (3) 小損 損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント未満のものをいう。

 (損害額の算定基準)

28 火災による損害額の算定は、火災による直接的な損害のみについて行い、消火のために要した経費、焼け跡の整理費、り災による休業損失等の間接的な損害を除くものとする。

2 火災による損害額の算出方法は、別に定めるものとする。

 (火災による死傷者)

29 火災による死者及び負傷者とは、火災、消火活動、避難行動その他の行動等により火災現場において火災に直接起因して死亡し、又は負傷した者をいうものとする。

2 火災による負傷者が受傷後48時間以内に死亡したときは、火災による死者として取り扱うものとする。

3 火災による負傷者のうち、48時間を経過して30日以内に死亡した者については、30日死者とする。

4 負傷の程度は、重症、中等症及び軽症に区分し、その基準は別に定めるものとする。

 (出火原因等の分類)

30 出火原因分類、用途別分類及び業態別分類は、別に定めるところによる。

   第4章 調査業務の執行

    第1節 火災出場時の調査

 (火災出場時の見分)

31 火災現場に出場した消防職員は、消防活動を行うとともに、出火場所、延焼状況等の火災の状況把握に努めなければならない。

2 調査員は、調査に活用するため、出場の途中及び火災現場において、関係者等への質問及び現場の状況から、発見、通報、初期消火、火気管理、避難、死傷者及び消防対象物のり災の状況、消防用設備等の使用及び作動の状況等を把握するよう努めなければならない。

3 火災現場に出場した消防職員は、把握した事項について調査員から報告を求められたときは、現場到着時等における火災の状況を報告するものとする。

 (現場の保存)

32 火災現場に出場した消防職員は、調査のため必要があると認める範囲において、法第28条第1項の規定により消防警戒区域を設定し、現場保存に努めなければならない。

2 前項の規定による消防警戒区域の設定は、所轄警察署と連携を密にして行うものとする。

3 署長は、火災現場において焼死者その他変死者があると認めたときは、速やかに消防長に報告し、所轄警察署長に通報するとともに、現場保存に努めなければならない。

    第2節 鎮火後の調査

 (調査現場の指揮)

33 署長は、調査の進行の万全を期するため、調査の指揮者(以下「指揮者」という。)を指定するものとする。

2 指揮者は、実況見分、写真撮影、図面作成等についてそれぞれ担当者を指定し、組織的に調査の進行を図るものとする。

3 指揮者は、火災の規模等により、上級調査員等にその職務を代行させることができる。

 (立会人)

34 火災現場における調査は、関係者の立会いの下に行わなければならない。ただし、関係者の不在等でやむを得ないときは、警察官、関係者の近親者その他適切な者を立ち会わせて行うことができる。

2 立会人の選定に当たっては、見分場所又は物件に直接関係する者を優先しなければならない。

3 調査現場において調査のため必要があるときは、関係者の了解を得て、当該火災に関係する物件等(以下「物件等」という。)の製造業者、販売業者、輸入業者等(以下「製造業者等」という。)を調査に立ち会わせることができる。

4 調査員は、第1項又は前項の規定による立会いの下調査を行うときは、安全管理、言動等に配意しなければならない。

 (火災原因調査)

35 消防長又は署長は、調査員に第5条第1項の火災原因調査を実施させるものとする。

 (現場の発掘)

36 出火原因の調査においては、火災現場及び火災出場時の見分状況並びに関係者等の申述から総合的に判断して、出火範囲を限定し、火災現場の発掘(以下「発掘」という。)を行うものとする。

2 発掘は、前項の規定により出火範囲として限定した区域について、当該区域の周囲から出火箇所付近に向かって順次実施するものとする。

3 発掘に際しては、立会人の申述に基づく物品配置等に留意し、物件等の原状確保に配意しなければならない。

 (出火原因の検討)

37 出火原因の検討は、発掘の結果、出火箇所が判定された段階において行うものとする。

2 出火原因の検討は、発掘された物件等の鑑識結果、出火箇所付近の焼損状況及び延焼経路を参考として行わなければならない。

 (調査完了時の措置)

38 指揮者は、調査現場における調査を完了したときは、関係者に対しその旨を通知するものとする。

 (火災損害調査)

39 指揮者は、調査員に第5条第1項の火災損害調査を実施させるとともに、必要に応じて、り災した消防対象物の関係者に対し、次に掲げるり災申告書の提出を求めるものとする。

 (1) 不動産り災申告書

 (2) 動産り災申告書

 (3) 車両・船舶・航空機・林野・その他のり災申告書

2 署長は、前項の規定による申告を受理したときは、詳細に審査し、その内容が現場における消防対象物のり災状況の調査の内容と著しく異なる場合は、申告者に対し、質問等によりその矛盾を明らかにし、訂正させなければならない。

 (り災の証明)

40 署長は、火災の関係者に対し、り災の証明を行うことができる。

2 り災の証明書は、別に定めるところにより交付するものとする。

    第3節 鑑識等

 (焼損物件の鑑識)

41 署長は、調査現場における焼損物件の詳細な見分が困難なとき又は実験等を必要とするときは、鑑識を行うものとする。

2 前項の規定により鑑識を実施した場合は、実況(鑑識)見分調査書及び試験結果書にその結果を記録するものとする。

3 署長は、鑑識を行うときは、第45条の規定による鑑識、鑑定等の依頼と調整の上、行うものとする。

 (焼損物件等の提出)

42 署長は、焼損物件等の鑑識が必要であると認めるときは、関係者に対し、任意に焼損物件等を提出させることができる。

2 署長は、前項の規定により焼損物件等を提出させる場合は、関係者に対し、資料提出承諾書を提出させるものとする。

 (資料提出命令又は報告の徴収)

43 署長は、前条の規定による焼損物件等の確保が困難と思われるときは、法第34条第1項の規定により、関係者に対し、資料提出命令書により焼損物件等の提出を命ずるものとする。

2 署長は、火災の原因である疑いがあると認められる製品の調査において、当該製品を製造し、又は輸入した者から、任意に火災原因調査のために必要な情報が得られない場合は、法第32条第1項の規定により、当該者に対して、資料提出命令書により資料の提出を命じ、若しくは報告徴収書により報告を求めるものとする。

 (焼損物件等の保管及び返還)

44 署長は、前2条の規定による焼損物件等の提出があったときは、提出者に対し、資料保管書を交付しなければならない。

2 焼損物件等は、保管品台帳に記載し、保管票を付してこれを保管しておかなければならない。

3 焼損物件等を返還するときは、第1項の資料保管書と引換えに行うものとする。

 (鑑識、鑑定等の依頼)

45 署長は、消防長の承認を得て、原因究明に必要な鑑識、鑑定、実験等(以下「鑑識等」という。)を鑑定・鑑識等依頼書により依頼することができる。

2 署長は、焼損物件の鑑識、実験等に関し、必要があると認めるときは、当該物件の製造業者等又は関係機関に鑑識、実験等の協力を依頼することができる。

3 署長は、原因究明に必要な焼損物件の鑑定に関し、科学的手法による成分分析、性状解析等について特に必要があると認めるときは、関係機関又は学識経験者に鑑定を依頼することができる。

 (官公署への照会)

46 署長は、法第32条第2項の規定により官公署に対し調査に関する事項を照会するときは、火災調査関係事項照会書により行うものとする。

   第5章 調査結果の記録等

    第1節 調査書類の作成

 (調査書類の作成及び管理)

47 署長は、その管轄区域内で発生した火災について、本章の規定により火災調査報告書類(以下「調査書類」という。)を作成し、管理しなければならない。

 (調査書類)

48 調査書類は、次に掲げるとおりとする。

(1) 火災調査書

(2)  火災原因判定書

(3) 出火出動時における見分調査書

(4)  実況(鑑識)見分調査書

(5) 質問調査書

 (6) 火災原因の立証のための資料

  ア 試験結果書

  イ 鑑定書類

  ウ 火災調査関係事項照会書に対する回答文書等

  エ 立証のための文献資料

 (7) 損害に関わる調査書

  ア 損害調査書

  イ 死傷者の調査書

 (8)  写真

 (9)  図面

2 調査書類の様式は、別に定めるものとする。

 (調査書類の作成基準)

49 調査書類は、火災の程度及び種別に応じて別に定める基準により作成するものとする。

    第2節 火災の報告

 (火災即報)

50 署長は、火災が発生したときは、鎮火後直ちに火災の概要を火災即報として消防長に報告するものとする。

 (調査結果の概要報告)

51 調査員は、調査が終了したときは、その概要を署長に報告しなければならない。

2 署長は、火災原因その他の調査結果の概要を消防長に報告するものとする。

3 前項の報告については、別に定めるところにより行うものとする。

 (調査書類の提出)

52 署長は、別に定める期間内に、第47条の規定により作成した調査書類を消防長に提出しなければならない。

2 前項の規定により提出する書類は、調査書類の写しとする。

 (火災の報告)

53 消防長及び署長は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第40条の規定により報告を行わなければならない。

2 前項の報告については、別に定めるところにより行うものとする。

 (製品火災に係る報告)

54条 消防長及び署長は、平成21年消防予第154号、消防技第16号及び消防特第67号の通知により報告を行わなければならない。

2 前項の報告については、別に定めるところにより行うものとする。

 (調査書類の保存)

55 署長は、作成された調査書類を、別に定める期間保存するものとする。

2 写真陰画等は、別に定める方法により保存するものとする。

    第3節 照会の対応

 (照会の対応)

56 消防長及び署長は、裁判所、捜査機関、弁護士会等から調査結果の内容について照会があったときは、調査書類の抄本を送付し、又はその内容について回答することができる。

2 前項の照会については、別に定めるところにより対応するものとする。

 (参考人、証人等としての出頭等)

57 調査員は、自ら担当した調査に関して、捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼出し若しくは召喚を受けたときは、消防長及び署長にその事案の概要を報告しなければならない。

2 前項に規定する場合において、調査員は、当該要請等に応じて出頭したときは、その結果について消防長及び署長に報告しなければならない。

第6章 震災時の火災調査

    第1節 震災時の火災調査体制

(組織的な調査の執行)

58 消防長は、地震の発生から、当組合を組織する市町村に災害対策本部が設置されている間(以下「震災時」という。)に発生した火災の調査に対し、組織的な執行体制の確立に努めるものとする。

(情報の収集)

59 署長は、地震の発生直後から災害状況の記録及び調査のための情報収集に努めなければならない。

(震災に伴う火災の指定)

60 消防長は、調査を円滑に実施するために、震災時に発生した火災のうち、震災に伴うものとして期間及び地域を限定した火災を指定するものとする。

(火災調査活動)

61 署長は、前条の規定により消防長が指定した火災(以下「震災に伴う火災」という。)の調査については、り災証明発行のための損害状況調査を優先するとともに、出火原因、延焼拡大状況等の記録に重点を置いた火災調査活動を実施するものとする。

2 前項の規定による火災調査活動(以下「震災時の火災調査活動」という。)は、別に定めるところにより行うものとする。

(調査員等の確保)

62 署長は、震災後の行政対応を考慮し、震災に伴う火災による被害の記録のために必要な要員を確保するとともに、調査員に対して現場の見分、写真撮影等の記録を行わせるように努めなければならない。

(調査員の派遣要請)

63 署長は、震災による管内の被害が甚大で、り災証明発行のための損害状況調査及び当該調査以降の火災調査活動に支障が生ずると予想されるときは、消防長に対して調査員の派遣を要請することができる。

(必要な資機材の確保)

64 消防長及び署長は、震災時の火災調査活動に必要な資機材の確保に配意するものとする。

    第2節 調査結果の報告及び活用

(震災に伴う火災の即報)

65 震災に伴う火災が発生したときは、別に定めるところにより署長が行う被害報告をもって、第50条の火災即報に代えるものとする。

(震災に伴う火災の調査結果の報告)

66 署長は、震災に伴う火災の調査結果については、第51条第2項の規定にかかわらず、火災を覚知した日の属する月の翌月の末日までに消防長に報告するものとする。

(り災証明事務の対応要領)

67 署長は、震災時における火災調査の結果に基づき、当組合を組織する市町村の長と連携して、迅速なり災証明事務の対応に努めるものとする。

   第7章 雑則

 (委任)

68 この訓令の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。

   附 則

1 この訓令は、平成22年4月1日から施行する。

2 この訓令の施行前にこの訓令による改正前の八戸地域広域市町村圏事務組合火災原因及び損害調査規程の規定によりした手続その他の行為でこの訓令中これに相当する規定があるものは、当該相当する規定によりしたものとみなす。

附 則(令和4年1212日消防長訓令第1号)

この訓令は、令和5年1月1日から施行する。